ある物語
これは世界中に存在する物語。親が子供にする物語。誰もが知っている物語。
ただしそれは本当にあった物語
『昔々、そう遠くない昔の話。勇者と魔王が沢山いるこの世界での昔の話。
その時代は暗黒時代と呼ばれていました。
なぜなら、その時代は凶悪な7人の魔王によって、世界のほとんどを支配されていたからです。
その凶悪な魔王達を人々は《七大罪魔王》と呼んでいました。また、一人ひとりの呼び名も異世界からの言葉からとり、
《暴食》の魔王
《怠惰》の魔王
《強欲》の魔王
《色欲》の魔王
《憤怒》の魔王
《嫉妬》の魔王
《傲慢》の魔王
と呼ばれていました。
そのなかでも、《傲慢》の魔王:カイラスは最も恐れられいました。
カイラスは《七大罪魔王》のなかでもかけ離れた強さを持っており、通常の魔王に匹敵するほどの配下を5人従えていたのです。
その5人の配下にも、《五魔星将》と名付けられるほど恐れられていました。
また、カイラスはその力を使い、《魔都:ディートピア》なる街をつくり、自身がそのディートピアの領主となりました。そして、人間達を隷属させていたのです。ディートピアでは魔物達が人間のように振る舞い、人間達は家畜のような扱いを受けていました。
そんなことを許しておける勇者はいなく、多くの勇者達がディートピアにカイラスを倒しに向かいました。
しかし、カイラス、そして《五魔星将》の強さはとてつもなく、ディートピアから戻ってくる勇者は誰もいませんでした。
しかし、そんなとき奇跡が起こったのです。カイラスの行いを見ていた神様が世界の国々にお告げを出したのです。
〈世界中の国々で《魔都:ディートピア》に挑みなさい。されば、滅ぼすことが出来るでしょう〉
これにより、世界中の国々が協力し、《魔都聖滅軍》を結成させました。そして、カイラスに挑んだのです。
《魔都聖滅軍》はディートピアに侵攻し、街にいた魔物を倒し、人々を救いました。しかし、《五魔星将》によりその侵攻は止められてしまいました。《五魔星将》の強さは想像以上であり、《魔都聖滅軍》は敗北寸前まで追い詰められてしまいました。
ですが、ここでさらなる奇跡が2つ起こったのです。1つはなんと、《七大罪魔王》の《嫉妬》、《強欲》の魔王が現れ、《魔都聖滅軍》に力を貸したのです。
《嫉妬》の魔王は言いました。
「《傲慢》の魔王であるカイラスはその傲慢さから、他の魔王までも支配しようとしている。不本意ではあるが、奴を倒すため協力をしよう」
そして、さらなるもう一つの奇跡は【伝説級】の勇者が現れたのです。
魔王達の協力により、《魔都聖滅軍》は《五魔星将》を抑えることができ、【伝説級】の勇者はをカイラスの元へと進むさせることが出来たのです。
そうして、その時代の《最強の勇者》と《最強の魔王》の闘いが行なわれたのです。
その闘いはディートピアを半壊させ、敵味方に多くの損害を与えました。
そして、多くの被害を出したのち、勇者は魔王に勝ったのです。
しかし、《傲慢》の魔王であるカイラスは自身が死ぬ直前、【伝説級】の勇者に【死の呪い】をかけたのです。その呪いにより、勇者も魔王の後を追うようにこの世を去りました。勇者は自身の命と引き換えに魔王を滅ぼしたのです。
この戦いにより、暗黒時代は終わりをつげました。世界に一時の平和が訪れたのです。 おしまい』
【暗黒時代と傲慢の終わり】
過去に起こっていた《魔都侵攻戦》が記された書物。有名な書物のため、この書籍を題材にした舞台、詩、絵本なども出ている。また、古い書物のため、世界各地に存在しているが、場所によって話が異なる。
一部の学者はこの書物は懐疑的な考えを持っており、この戦いのあとの戦後処理、他の魔王の名前が記されていない。勇者の存在が不確かなどを提言しており、書物が意図的に改竄、もしくは記されなかったと話し合いが行われている。