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前世、魔王。今、勇者  作者: ミナ
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新たな勇者の誕生?

「おおーー!!こ、この反応は・・ま、まさか勇者の!!」


辺境のある都の教会で神官が、目の前のオーブの激しく白く輝く反応を見て、大きな動揺を隠せずをそう言った。

 そのオーブには10代後半の青年が神官の動揺に無関心に手をかざしていた。


「あ、貴方は勇者の資格を持っています!!そしておそらくその階級は【伝説級(レジェンド)】!!伝説の勇者となる資格があります!」

(こ、これを、このことを、私が伝説の勇者を発見したと世界に、せ、宣言すれば私は王都の教会の教主に!い、いや、上手くいけば、教国で上の立場になれるのでは!!)


 自身の欲望を考えながら、神官は目の前の人物を見ていた。彼には見えていたのだろう。自分自身の輝かしいいくつもの未来が、、ただしそれは


「さ、さぁ、君、いや貴方のことを世界に宣言しよう!!王都に行けば、大々的に宣言してくれるはずだ!!いや、教国でもいい!!もしかしたら、教国の方がとてつもなく「断る」・・・・えっ?」


 その青年が協力をしていてくれた場合のみでのこと。


「な、何を言ってるのかな?すまない、聞き間違いをしてしまったかもしれない、もう一度言ってくれるかな?」

「断ると言った」

「どうして!?君が伝説の勇者とわかれば、色々な国が君を支援してくれるはずだ!!強い武器や防具を無償で使用出来る、移動の手段や費用を出してくれる、何より貴族や王族との繋がりを作ることが出来る!!他にも色々なことを優遇してくれるはずた!!なぜそれを断る!?」


 神官は自身の進退にも関わってくることであり、引くわけにはいかなかった。青年はその必死な神官を冷ややかな目で見ており、面倒臭そうに口を開いた。


「武器防具に関しては譲渡もあるだろうが多くは貸与だろ。そうなると使いたいときに使いたい武器を使えない場合がある。」

「移動に関しては確かに手段や旅費は出してくれるだろう、だが街の中ではパレードにされるだろう、また移動の間に護衛という名目で仲間を押し付けられる可能性もある。」

「貴族や王族との繋がりも、派閥争い巻き込まれたり、邪魔だと思われれば暗殺される、一番最悪なのよくも知らない奴と結婚させられる可能性すらある。他にも言えるが、これで充分だろ。それとも何か?自分の出世のために俺を使うと?」

「!、う、う、、え、、あ、」


 自身の言った利点に対して、青年は冷静に欠点を述べた。

 神官にとって、青年は自身が出世するために利用しようとしたカモだった。大きな餌を出せば、飛びついてくると確信していた。だが、彼は飛び付かずその餌を跳ね飛ばしていた。

 この状況に神官は先程とは違う戸惑いを見せ、青年の質問に答えられずにいた。


「答えられないなら、俺はもう行くぞ。これ以上、ここにいても無駄な時間になるだけだからな」


 そう言うと青年は荷物をまとめ、神官に背を向け教会の扉へ向かって行った。神官は止めることもせず、頭を下げていた。



 しかし、神官は諦めていなかった。


(諦めてなるものか!!私の出世が、輝かしい未来が待っているのだ!!こうなれば奴に黙って、宣言すればいい!そうすれば、私は王都での輝かしい生活が!それに、奴にも王都での生活が出来る!私の素晴らしい提案を断ったことを後悔する未来が見えるぞ!!そうだ!そうしよう!!ならば、奴がいなくなった後にでもすぐに王都に手紙を「あっ、一つ忘れていた」


 神官の考えを遮るように、青年は神官に顔を向けた。

 そして、青年は神官に()()をした。


『俺のこと、そして今日あったことは忘れ、今まで通りの生活をしろ。そして出世願望を捨て、この町で年をとれ』


 その声は、静かで荒々しく、囁くように吠えるような声色をしていた。その不思議な声を聞いた瞬間、神官の目からは光が無くなり、頭を上げ青年の方に顔を向けた。


「ハイ、ワカリマシタ。今日ノコトハ忘レ、コノ町デ暮ラシマス」


神官は抑揚のない声で返事をすると、今度は体全身の力が抜けたように、倒れた。


「やはり、【鑑定】と【言霊】の組み合わせは威力が強いな。今回はなんとか無事なようだが、場合によっては受けた相手は廃人になる可能性もあるな」


 青年は神官の様子を確認しながら、自身の力について考えていた。


「この組み合わせはあまり乱用しない方がいいな。()()は人間で勇者だ。あまり、目立つような真似はするべきじゃないな。()()のようになるわけにはまだいかない。」


 青年は何かを反省するかのように呟いていた。しかし、直ぐに歩きはじめ、教会の門を開けた。


「考えはあとだ、今は準備しないとな。前回のやり残しがあるしな。」

「しかし、皮肉なことだな。勇者でやろうとしていることが、()()でのやり残しとはな」


 そう言うと、青年は教会を出ていった。




判明スキル

【鑑定】LV.10

 ・鑑定したい存在を見ることで発動出来る。LVが高いほど詳細な情報を見ることが出来る。また、動物に対して発動する場合、【隠蔽】を持つ相手では、そのLVによって鑑定できる範囲が変わる。持たない場合、LVが最大ならば相手の思考をも鑑定することが出来る。LV.10にすることが出来るのは【勇者】のみである。


【魔王の言霊】LV.7

・魔王のみが獲得、使用が出来る。魔力を込めて特殊な方法で話すことで、その言葉で相手を支配出来る。ただし、確実に支配出来るわけではなく、相手のLV、抵抗力、自身の【言霊】のLVの高さによって成功率が変わってくる。また、言葉がわからない、音によって消される、話すときに隙ができるなど欠点がある。

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