表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/85

シエスタの打ち止め

 自称天使から放たれた名前は、紛れもなく俺のものだった。


「どうして名前を知っているんだ。どこかで会ったか?」

「いえ、初めましてです」


 なんだそりゃ。


風林(かぜばやし) 夏樹(なつき)さん、十七歳、O型のおうし座、身長百七十八センチ体重六十四キログラム、得意科目は数学、苦手科目は英語で――」

「ちょっと待て」


 一体なんだコイツ。

 何故初対面からここまで的確に俺の事を知っているんだ。


 胸がざわつくのと同時に、俺は無意識に上体を起こしていた。


「誰から聞いた? お前は誰だ」

「私は天使です」


 それはもういいって。


「夏樹さんを助ける為にここへ来ました」


 突拍子の無い発言とは裏腹に自称天使は真面目な顔つきだった。


「助けるって……どういう意味だ」

「そのままの意味です! 時間がありませんから、とにかくついてきてください!」


 言い終わるか終わらないうちにブレザー越しにガチリと二の腕を掴まれ、愛玩動物とは思えない力で引っ張られた。

 ベンチから転げ落ちそうになるのを曲芸師のような動きで何とか回避し、直立する。


 すると改めて気づいたが、自称天使は相当背丈が小さい。俺の腹くらいまでしかない。


 そのチビが、


「さあ夏樹さん、行きますよ」

「はあ? 行くってどこにだ? てかお前誰だよ、名前は? どこの学校の奴だ?」


 俺の矢継ぎ早の質問には答えず、自称天使は屋上の入口へと小動物の様に走っていく。


「はーやーくー!」


 両手を拡声器にして叫ぶ自称天使のもとへ、俺は仕方なく歩くことにした。


 頼むからお飯事は余所でやってくれよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ