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蛇に睨まれた蛙
ことわざ
昔から言い伝えてきた、訓戒・風刺などを内容とする短い句。
蛙が1匹いた。
そして目の前には蛇がいた。
蛙は自分が蛙だということに気づき、
蛇が蛇だということに気づいた。
「死ね。気持ちの悪い蛙。」
蛇はつぶやいた。蛙はそんな言葉も気にしていなかった。
「美しい…とても。」
蛙はつぶやいた。蛇はそんな言葉も気にしていなかった。
蛙は死んだ。
蛙は今まで蛇から逃げていたことを思い出した。
蛇と遭遇してもなにも話さず目も合わせなかった。
こんなにも美しいのに。
蛙の意識はあった。だが死んだ。
つまりは蛇の美しさで死んだのである。
蛇の美しさ、毒のある言葉。
全てが好きになってしまったのである。
蛙は死んだ。