青空とそよ風と木々の繋ぎ目から
私はヒカル、高校二年生。
今は夏休み中。
今日は、夏実から紹介してもらったサトシに初めて会う。
春くらいに紹介してもらったから、かれこれ3ヶ月ほどメール友達だったかな。
メールの感じは、まぁ普通にいい人そう。県内のすごく頭の良さそうな進学校に通ってるみたい。
待ち合わせ場所は高校の近くの駅。その後、近くのハンバーガー屋さんへ行く予定。
お母さんには友達とお昼を食べに行ってくるって話して出てきた。
男の人と待ち合わせをするのは初めてだからドキドキする。どんな人なのだろう。
駅に着くと、人がすごくたくさんいた。サトシとはメールだけで、実際に会ったことはない。お互い服装や髪型を伝えておいたけれども、いまいちピンとこない。こんなに人がいて会えるのかな。
あそこに立ってるいる、棒みたいに細くて暗そうな人だったらどうしよう…。もう会えなくてもいいから帰りたい…。恥ずかしいい。どうしよう…。
すると、誰かが近づいてきた。
「あの。ヒカルさんですか?」
あっ、この人か。わぁ、ビックリした。思ってたよりも早く出会えた。
「はい!そうです!サトシさんですか?」
ヒカルは、引きつった笑顔で答えた。
なぜかと言うと、サトシは、思っていたよりもお洒落ではない服装だったからだ。もやっとした色でダルっとしたTシャツと、これまた、もやっとした色のズボン。全身モヤッと系男子?と、心の中で眉間にシワを寄せた。
2人は近くのハンバーガー屋さんへ歩いて向かった。
「……。」
何を話していいのかわからないけれど、無言はつまらないので、とにかく何かを話しておこう、と、ヒカルは思った。
「あの、夏実の友達ですよね?中学一緒だったんですか?」
ヒカルは次々と思いつく質問をサトシにしていった。サトシもどんどん答えた。
ハンバーガー屋さんに着いて、2人とも同じハンバーガーのセットを注文した。
サトシは、声が小さくて少し女々しい。なので、しっかりしているヒカルがサトシの注文も一緒にした。
2人でハンバーガーを頬張り、いろいろな話をした。
途中から漫画の話になり、ヒカルは、好きな少女漫画の話をした。
すると、サトシの目は急に輝き、僕もその漫画好き!!と言うように身を乗り出して話を聞いてきた。
ヒカルは、急になんだ?と思いながらも少女漫画の話をした。
しばらくして、ヒカルはバイトがあるので先に帰った。
帰り道、サトシへメールで今日はありがとうと伝えた。
その後もサトシとは何度かメールを続けたが、途中から漫画の話にも飽き、つまらなく感じてきた。そして、質問を考えるのも嫌になり連絡が途絶えた。
夏休みが終わり、夏実が聞いてきた。
「サトシくんとはどう!!??なんかサトシがすごく楽しかったって言ってたよ!!良かったね!!付き合っちゃう!!??」
と、ニコニコと嬉しそうな夏実。
ヒカルは、夏実のテンションの高さに驚いた。
「えっ、別に普通だよ。付き合わないよ。そんなに楽しかったって言ってた?」
ヒカルは不思議だった。たぶん楽しかったのはサトシだけだ。
ヒカルは、無言のサトシにいろいろな質問を考えて話を続けて、一緒にいてなんだか気疲れしてしまったのだ。逆にサトシは、ヒカルが明るい性格だと思ったのか、話が盛り上がったと思ったのか、なにかを勘違いしているようだった。
「サトシくん、本当にすごく楽しかったって!また会いたいって言ってたよ!会ってあげなよ!いい感じだったんでしょ?」
その後も、夏実の圧がすごかった。
「う〜ん。もう会わないかな。いい感じではなかったよ。」
と、ヒカルは、冷静に答えた。
すると、夏実はハテナマークだらけの頭を傾けてこう言った。
「なんかサトシくんから聞いたことと全然違う。恋愛って難しいね。」
夏実は、眉毛をハの字にして、アヒル口でぶーぶー言っていた。
ヒカルは窓から木々を眺めて、そうだね…と、返事をした。外は青空で、そよ風がとても気持ち良かった。