スライム
俺、今井 信二は今、とても悩んでいる。それは、世界が滅んで、家が少し壊れているからではなく、目の前にいる粘着性の物体、いわゆるスライムのせいだ。
どうやら、スライムは俺に気づいているらしく、その顔?を俺に向けて止まっている。
もし、これがゲームなら、
『スライムが現れた。攻撃する。スライムを倒した。』
で終わるかもしれないが、残念なことにこれは現実だ。まず、攻撃をするにもどこを攻撃すればいいかわからないし、攻撃するための武器もない。 また、動こうにもスライムがこちらを見ているせいで迂闊に動けない。
そこで少し考えていると、俺は1つ策を思いついた。そう、スライムには赤い核がある。核をとればスライムを倒せるのでは、と。
そこで俺は、気持ち悪いがスライムの中に手を入れ、核をとることにした。
もしかしたら手が溶けるかも知れないと思ったが、別にそういうこともなく少しヒリヒリする程度だった。
俺が手を入れたとき、スライムは逃げようとしたが、俺がきちんと核を掴んでいるため無駄だった。そして、俺はスライムから核をためらいなく引き抜いた。すると、核のなくなったスライムは蒸発するように消えていった。そして
「レベルが上がりました」
という機械的な音声が頭の中に響いた。
そこで俺は膝をつき、手をつき、四つん這いになりながら思った。
“この世界は、どこまで俺をバカにすれば気が済むんだ”と。
もう、ほんと、泣きたくなった。