プロローグ
さて、少し質問をしよう。もし、世界が滅びたらどう思うかを。
その答えは千差万別、人それぞれだろう。泣く人もいれば笑う人もいる、なんなら狂う人もたくさん居るだろう。
では、俺が実際に体験して感じたことを言おう。
俺なりの答えは、何も感じないだ。まあ、しいて言うならざまあみろ、といった感じだ。
俺は、幼い頃に親を殺された。俺の目の前で。そこで俺は思ったんだ。この世界は何なのだ、と。
それからは幸せそうな人を見ると、なんというか何で俺だけこんな思いをしなくちゃいけないんだと思うようになり、しまいには何も感じなくなっていた。
そんな、何でもない空っぽの毎日を過ごしていた。
そして、ある日いつものように目を覚ましたら世界が滅んでいた。俺はなぜか奇跡的に生きていたようだが、それはどうでもよかった。そんな些細なことより、もっと大切なことがあった。
粘着性があって、どろどろした奴がいたからだ。
まあ、それだけなら何も思わなかったかもしれないが、少し、おかしな点があった。
そいつには細胞の核のようなものがあって、這うように動いていたからだ。そして思った。
“ああ、何なんだこの世界は”と。