ソレハ地上カラ
ここはどこだろう
気がつくと草原に立っていた
近くにはさらさらと流れる小川があった
向こう岸に女の子が手を振ってた
その子の周りには靄がかかっていてよく見えない
君は・・・
呟くと同時に靄はさらに濃くなっていった
まるで世界から拒絶されたように感じた
待って・・・
足下が崩れてそのまま何もないところに吸い込まれていった
「なんだそれ」
今朝みた夢の話をマサキに話すと真面目に返されてしまった。
「だいたい俺らが行ける範囲でそんな草原が残ってると思うか」
「そんなこと、言われてもな…夢だから。」
「B級映画のプロローグみたいだな。」
マサキはハンバーガーを食べながら呟いた。
そのとうりだ、自分でも話しながらそう思った。
「トオル、もしお前が言うようなあたり一面の草原があるとしたら壁の外にあるだろうな。」
そう言った瞬間ファーストフード店にいるお客さんや
店員さんが全員がこっちを見た気がした。
「ちょっ…やめろよ、公共の場でそうゆこと言うのは。」
「何がだめなんだよ、この国では発言の自由は認められてるんだからいいだろ。」
そう言うと先っきよりも大きな口でハンバーガーにかぶりついた。
「はぁ…マサキの言ってることは、正論だけど今の世の中から受け入れられない考えかただよ。」
「まぁそうだろな、実際に過激派が事件おこしてるからな。」
窓の外を見ながらマサキは言った。外を見ると空は快晴で真夏らしい天気を再現していた。
「いい天気だな。」そう呟くと
「これだけ、天気がいいと多分見えるぜ」
目を凝らしてみて見ると、うっすらと見えた。
高層ビル群の間から見えるそれは近くから見れば想像以上に高く感じるだろう。
もし大昔からタイムスリップして来た人がいたなら確実に驚くだろうそれは、建設から約100年そこにありつつげる。
それはイージスと呼ばれる壁。
人の叡智を結集して作られたもので今では小学校高学年の歴史の授業でその建設の経緯を習うものだ。
それまでは疑問すら持たずに生きるだろう。
人は生まれた時ある物に疑問はもたないだろ、そこにあるのが当たり前なのだから。
「なぁマサキ」
「なんだ?」
ふと思った疑問をマサキに聞こうと思ったが言葉が出てこなかった、それを聞いたら何かを失うような気がしたか。
「いや、なんでもない。」
マサキはキョトンとした顔をして
「そうか。」と言った
いつの間にか最初に話していた内容から大きく外れてしまうくらい話してしまったと思った。
「さて。」とマサキが食べ終えたハンバーガーの包み紙をくしゃと潰して
「勉強再開するか。」
「へ?」
あぁそうだった
「へ、じゃねえよ。俺らは明日から始まる期末試験の勉強するためにこの店に入ったんだろ。」
「そうでしたね。ハハハハ…」
マサキは鞄から大きな参考書を取り出してドンっと机に置いた。
「うへぇ…」
「変な声出すな、そもそもお前が勉強できないのか悪いだろ。B級映画の夢を覚えてる暇があるなら数学の公式でも覚えとけ。」
勉強モードになったマサキはマジでやばい。
集中力が異常なのだ。
「なぁ、今日って何時くらいまで勉強するつもりなのかな…マサキさん?」
「何言ってんだよ、お前が覚えるまでに決まってんじゃん♡」
現時刻 一時四十八分
地獄が始まった。
「はぁ…めっちゃ疲れた」
「お疲れさん」
勉強がやっと終わりお店から出て家に帰る時には日は沈みかけていた。
「あれくらい、出来るようになれよ。」
「うぅ、辛すぎる。」
あれから約四時間にわたってひたすら数学の問題をさせられた。
そのせいかわからないが頭痛がする。
「だいたいあれぐらいの問題ができなきゃ適性判定テストでD判定食らうぞ。」
「それはもっと辛い…」
誰か…
「え。」
思わず足を止めてしまった。
何が起きたかわからなかった。急に、頭の中から声が聞こえてきたみたいだったから。
「どうした、立ち止まって?」
マサキも二、三歩先で立ち止まって、不思議そうな顔でこっち見てきた。
「先に帰っててくれるか。」
そう呟いて僕は反対方向へと走りだした。
「はぁ!?どうしたんだよ、おい!」
マサキは最後まで呼んでたけど無視して走り続けた。
多分このことを話しても理解されないだろうから。
なぜ聞こえたのかわからなかった。もしかしたらただの幻聴かもしれない。
だけどなんだかわからないけど行かなければならないような気がしたんだ。