最初の魔法(1)
長くなったので2話に分けました。
書庫を使うべくお願いをしに行こう。
必要なことなんだが、面倒くさいな。
お願いすればいいと思うんだろ。
お願いするのが問題じゃないんだ。
すこし回想に入るぞ。
_____
あれは、0歳と8ヶ月ぐらいのことだった。
この時俺はそろそろ言葉を単語で話すぐらいなら、いいんじゃないかと考えていた。
今までは、意味のない言葉しか話さないように努力していたが、いい加減飽きてきた。
地球ではこれぐらいに単語を話すのはなんも違和感がないはずだしな。
最初はただ両親が喜べばいいなぐらいにしか考えていなかった。
まさか、これがトラウマを残すことになるとは思ってもみなかった。
最初はだれの名前を最初に呼ぶかで悩んでいた。
定番は、「お父さん」「お母さん」だ。
だが、俺との交流が多い順で並べると「アンナ」がトップに来る。
アンナはうちのお手伝いさんな。
まあ「アンナ」を最初の言葉にするには問題が多すぎる。
父が不倫を疑われかねないしそれで誰が死んでもおかしくない。
というか、父が死ぬと思う。アンナはなしになった。
というわけで、「お父さん」と「お母さん」で悩んでいたのだが、なんとなくで「お母さん」に決まった。
なんか大切な気がしたんだ。
まああとは簡単だった。
母が、
「ほら、お母さんですよ~。
一緒にお昼寝しましょうね~」
といったタイミングで、
はにかみながら「おかーしゃん」っていたんだ。
そうしたら、どうなったと思う。
驚くなら普通の反応。喜んでも、特に困りはしなかった。
そう、ただ喜ぶだけならな。
あの頃のことは鮮明に思い出せる。
母は俺の言葉を聞くとまずは瞬きを2回した。それもパチパチと音が聞こえそうなくらい強くな。
そのあと、1秒くらい固まったかと思うと、幸福の絶頂にいるかのような顔で鼻血を噴きながら、後ろに倒れこんだんだ。
“出す”じゃないぞ“噴く”だぞ。だって俺を見るために重心を前にしていたのにもかかわらず後ろに倒れたんだからな。
部屋と俺は母のスプラッタ(母の血で)。
母は白目を剥き、ラリったような顔で床に倒れている。
ただの恐怖映像だった。いかに転生したとはいえ、精神は幼児と同等。
俺は全力で悲鳴を上げた。
悲鳴を上げつかれて寝てしまったようだが、すぐに父が駆けつけてきてくれたらしい。
目が覚めたら母が全力で誤ったいた。
_____
回想終了。
な、憂鬱になるのもわかるだろう?
勉強するなんて言ったらハグで殺されかねない。
父にお願いするしかないのか…。
厳しそうなんだよな…。
気が乗らねぇ…。
ブックマークが3件突破。
見てくれている人が実感できてうれしいです。