第零話:Prologue〜星の王者は知らない〜
※この作品は【七夕小説企画『星に願いを』】参加作品です。キーワードを検索する際に「七夕小説企画」「星に願いを」と入れて頂くと、同じ企画に参加されている他の方の作品を読む事が出来ます。
“今宵、目にする星空は、どうか美しいものでありますように……”
誰もがそう願いたくなる日が、年に一度だけある。七月七日、つまり七夕の日だ。織姫と彦星の二人が、星屑がちりばめられた天の川の西と東に引き離され、一緒に過ごす事が叶わなくなった二人にとって年に一度きりの再会が許されている特別な日でもある。七夕の物語については諸説あるが、それが一般的な話とされている。
そういった七夕の伝承にあやかろうとする人々によってきらびやかな装飾品や笹の葉等が用意され、星に込めた願いを人それぞれ短冊に書き記し、それを笹の葉にくくり付けるという。
ただ、二人の再会には一つの障壁がある。天候が好ましくない日は織姫と彦星は再会出来ず、少なくとも一年後の、次の機会が訪れるまでは一切再会が出来ないと言われている。実際のここ数年の七夕の日の天候は曇りか雨だ。以前に晴れたのは、もう何年も前の事になる。
七夕の日は、誰にも知られているポピュラーな日であり、星空に込めた想いが叶う様にと強く願う日なのだ。
――ところが。
実は、七夕に隠された“真実”が存在している。決して人間に知られる事は無い、“隠された秘密”が存在するのだ。
それは“ひっそりと続けられていく”――その筈だった。
知られる事は無かった筈の真実が、やがて、ある者の手によって、ある人間に知られる事となる。
その事実は、今はまだ、星の王者すら知らない。
大半の方が初めましてだと思います。作者の祐里子です。
今回の作品は【七夕小説企画『星に願いを』】という企画の参加作品なのですが、当初は短編小説として投稿する予定でした。プロローグ的なモノを書いている内にどんどん止まらなくなってきたので、連載小説として投稿する事にしました。
オリジナルストーリーに関してはほぼ初心者の為、何か指摘すべき点を発見された際はやんわり言って頂けると有難いです。
本日は七月七日、今回参加させて頂いている企画の最終日です。このプロローグを投下した地点でのこの作品はプロローグのみとなっていますが、何とか最終話を投稿出来る様にと張り切っています。「作品の確認→遂行」を繰り返した後での本編の投稿となります。
企画の意図を若干脱線していると自覚しているのですが、温かい目で見守って頂けると助かります。
それでは、どうぞ宜しく御願いします。
――今回の作品が、どうか美しく仕上がります様に……。