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友人の考えたバッドエンド








「ママはもう死にたいよ・・・、空・・・ッ」


先日産まれた我が子、杏里(あんり)

名前から分かる通り女の子だ。

私は杏里を抱きながら考える。

あの・・・、私が新しく出来た彼からの告白を承諾したあの日。

帰宅して玄関にあったのは上質な男物の靴。


『やぁ、里奈ちゃん。おかえり』


『由希くん・・・っ』


私が名前を言った途端、由希くんに抱きしめられた。

いくらなんでも早すぎはしないか。

と言うか数年前に言ったあのセリフは本当だったのか。

そんな事を思ったがそれより空が心配だった。


『・・・・・・この、匂いっ』


なんだか血の匂いがした。

それに由希くんの手が赤く濡れていた・・・。

まさかと思って由希くんの顔を見れば笑っていた。


『気付いちゃった?うん、空は殺しちゃった』


悪びれもなく笑う由希くんに本気で殺意が湧いた。

いつも無邪気な笑顔でママーって迎えに来てくれる空。

もうあの笑顔は見れないの?

そう思って私は絶望した。


『なんでよ!』


『だって、空はてっきり僕との子だと思ってたのにあの浮気相手の子じゃないか。

里奈が新しく男なんて作らなければ空もこんな早くに死ななくて済んだのに。

里奈ってば酷いよ。僕を裏切った罰だ』


私のせい?ふざけんな。殺人が罪じゃないか。

第一元はと言えばお前の浮気だろうが!

なんて思ってショックより怒りが勝ち、本気で殺意が湧いたから後を追うなんて考えもしなかった。


『由希くん、私あんたの事許せそうにないわ。

確かに空は浮気相手との子供よ。

だから何?空は私の子供よ、法律上はあんたと私の息子。

今更浮気相手に未練は無いけどあんたにも未練は無いわ』


『もう、いい加減黙ってよ』


そのあと由希に眠らされて、目が覚めると今住んでいる家に居た。

それから何度も抱かれ妊娠した。

それでつい先日杏里を産んだのだ。


「あいつの思い通りになんてならない・・・っ」


このままでは絆されて家族円満ーみたいに終わりそうで怖い。

だがあいつは愛する息子、空を殺し無理矢理抱くような男だ。

許していいはずがない。

どうにかしてあいつをなんとかしなければ。


「りーなちゃんっ」


「由希くん・・・」


噂をすれば、とはこの事か。噂では無いがこいつの事を考えていた。

さっきの発言を聞かれていると少し厄介だが、まぁ対して問題は無いだろう。


「由希くん、私外に出たい。杏里を連れてお散歩したい。

・・・・・・ダメ?」


少し甘い声を出し、上目遣いで由希くんを見つめる。

いつも反抗的な態度をとる私だが、由希くんが私の甘えた姿に弱いことは付き合ってる時点から知っていた。

所謂ツンデレ。

現に今、由希くんは身悶えている。


「約一年間、外に出てなかったしね・・・。

良いよ。今日だけ、特別。いってらっしゃい」


ほら見ろ。由希くんはチョロい。

私にはとことん弱いもんね、由希くん。

でもこの機会を逃せば私一生出れないから、

杏里を連れて逃げる。

でも途中で杏里は理恵に預けよう。

由希くんの血が流れてると思えば喜んで世話するだろうから。


「じゃぁ行って来ます」


準備をしてから久しぶりに外へ出る。

由希くんは男性用大人の玩具と一緒に縄で縛って放置したから大丈夫、追ってこない。

あと3時間ぐらいはそれで楽しむだろうからそこがチャンスだ。


「理恵、久しぶり」


「姉さん・・・久しぶり。その子は?」


「杏里。由希くんとの子供」


まず向かったのは理恵の家。

杏里も大事な娘なので巻き込みたくない。

だから最初に杏里を預けた。


「私これから逃走するから預かっててくれない?」


「由希さんは来るの?」


「来るわよ」


「預かる」


「大切にしてよね」


「はいはい」


杏里用の荷物を理恵に渡し、家を出る前に奪った自分のスマホから雪を探す。


「あ、もしもし雪?私よ」


『里奈じゃん。もしかして再婚した?』


「そうよ、今日泊めてくれない?」


『うわー、大歓迎』


「今彼女居ないの?」


『知ってるでしょ?俺常に3、4人と付き合ってるの』


「そうだったわね。じゃぁこれから向かっていい?」


『人妻大歓迎』


「相変わらずの変態ね。じゃぁまた」


ついでに取り返した財布の中身はそのままで、中には結構お札が入ってた。

これなら雪の家まで大丈夫そうね。

電車を乗り継ぎバスに乗って雪の家へ向かう。


――ピーンポーン


「あ、里奈久しぶりー」


「久しぶり、雪」


「入って入ってー」


現在時刻は午後の五時。

三時半に家を出たからもう一時間半が経過した。

雪の部屋はいつも通り汚いのでまずは掃除から始める。


「首筋にキスマークがあるね。やっぱりそれ最高だよね」


「変態の性癖は私に理解できないわ。同意を求めないでくれる?」


「相変わらず冷たいなぁ、でもそこが好き」


「あんた人のモノならなんでも良いんでしょ」


「ご名答」


散乱しているゴミをゴミ袋に入れるが、後ろから雪が抱きついてくる。

この変態、無駄に顔が良いのだが本当に残念なイケメンだと思う。


「今日の夜ご飯なーに?」


「ハンバーグ。好きだったでしょ?ガキ」


「好物を覚えててくれたなんて嬉しいよ、里奈」


大好きー、と雪は頬を擦りよせてくる。

雪って今いくつだっけ?成人してるはずだけど、随分と子供っぽいわよね。


「でもさ、俺ハンバーグより里奈が食べたい」


「ベットだけは相変わらず綺麗ね。お好きにどうぞ」


まぁ、ここからは私と雪の秘密と言う事で。

翌朝になっても由希は来なかったし、

私は雪の朝食を作ってから雪の家を出た。

それにしても腰が痛い。年齢かしら?


「実家にでも戻るか・・・。あー、でもなー・・・」


実家の場所は割れてるし、今日はネットカフェか漫画喫茶にでも泊まろう。

一晩考えたらいい案が浮かぶはずだ。


「りーなちゃんっ」


「人違いです」


「ちょっと来て」


「は?離してよっ」


後ろから腕を掴まれ聞き覚えのある声がするので私は逃げようとするが、

勿論女の力じゃ男に敵わない。

車に押し込まれついたのは浜辺。

確か最初にデートしたのがこの浜辺だったと思う。


「ねぇ、里奈ちゃん。一緒に死のう?」


「何故、なんて答えは決まってるわね」


「流石里奈ちゃん」


私が浮気したから、でしょ?考える間のないわ。

車に乗せられて2時間。じっくり考えたわよ。


「杏里はどうするの?」


「理恵さん・・・だっけ?さっきこのまま預けてもらう様に僕から頼んできたよ」


「そう、ならいいわ」


私は両手を後頭部に持っていき、膝立ちになる。

なんだか怖くて目を瞑ると銃声が聞こえてそのまま意識がブラックアウトした。


(私の自業自得ね・・・)


翌日、浜辺で寄り添う二人の男女の遺体が発見された。

女は銃で心臓を撃たれ即死。男は自ら頭に撃って自殺。

ただ、女からは血液がかなり減っていた。

男の口元に付いていた血液を調べた結果女と一致し、

男が女の血液を飲んだのだと推測された。

たいしてニュースになるでもなく、

二人の男女は人生の幕を浜辺で閉じた。




以上、里奈さん浮気した場合のバッドエンドでした。

空は雪との間に出来た子です。

ですが前話であった通り里奈にそっくりで、

里奈LOVEな由希には殺せませんでした。

空は自分の遠い親戚へ預け、離れて暮らします。

手に付いていたのは血糊で、

匂いは生の魚と言うオチです。



数年後、杏里と空は偶然会い恋に落ちます。

杏里は空にストーカー行為を繰り返しますが、

空はそれを苦に思わず寧ろ歓迎します。

ですが二人は半分血の繋がった兄妹。

そんなのは関係ねぇ、とばかりに愛を深め、

反対する親族を振り切って駆け落ちします。


そのあとどうなったかは、二人の秘密です。

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