シナリオ考えてみた!
注、ラフな書き方なので雰囲気で読んでください。
―――――――
かつて勇者は魔王を討ち取り、世界に平和をもたらしました。
勇者は英雄王として祖国の新たな王となりました。
数年後には王子も生まれ、王国は至福の時を迎えます。
しかし、凋落の気配はすぐ近くに迫っていました。
しばらくの間、英雄王は魔王の残党狩りを中心に威信を保ちましたが、平和な世界に勇者は不要となりつつあったのです。
そして、ついに残党を狩りつくしたと思われたそのとき、各地を魔物による脅威が再び襲い始めたのです。
死せる魔王の息子が新たな魔王となり、英雄王に復讐を始めたのです!
再び魔王による危機に見舞われ、人々は再び英雄王に助けを求めました。
その願いに呼応するように、英雄王は先陣を切り魔物を討ち殺していきます。
嬉々として魔物を屠る英雄王は、まさに水を得た魚。
戦いを経るごとに若々しく生気に満ち溢れ、人々は畏敬の念を込め、彼を魚王と呼ぶようになりました。
嘘です、神王と呼ぶようになりました。
こうして、世界は人間と魔族の争いにより再び『バランス』を取り始めました。
それから10年後、物語は始まります―――。
主人公はかつて魔王を討ち滅ぼした勇者の息子。
ヒロインは英雄王が魔王討伐の際に拾い、城で育てることにした2歳年上の女の子。
主人公16歳、ヒロイン18歳の春です。
いや、春である必要はないので夏です。僕は夏が好きです。
幼い頃から一緒に育った二人でしたが、身分の違いを徹底されていたため、兄弟のような感覚はなく、いつからか互いに恋心を抱くようになっていました。
そう、これは幼き日から続く初恋です。
そして、幼い頃から神王の息子として武術の鍛錬を積んだ主人公と魔法の才に長けたヒロインは魔王軍との決着のため冒険に出ます。女であると舐められるので男装して旅立ちます。
その目的は、兼ねてより神王が捜し求める伝説の剣の刀匠を見つけることです。
伝説の剣は、神王がかつて勇者として魔王を討伐した際に使っていた、精霊ルビス的な何かの加護を受けた剣で、魔王の首と引き換えに刀身が折れてしまったのです。
冒険は過酷を極め、船やら何やら世界中を旅しました。
その道中には仲間との出会いと別れ、感動と笑い、血と汗と涙と努力と友情と勝利と、もうとにかくRPG1本分の色々がありました。
作者が大学生活の当初、炒め物をして予想以上に油が飛び、リアルにお鍋のふたを盾装備として活用したことなどを思い出し笑いしたりもしました。
そしてついに伝説の剣の復元のヒントを得ます。
刀匠とエルフの協力が必要となるのですが、魔王が剣の復元を阻止するため、エルフの郷を手中に収め、結界を張り、入れなくしていたのです。
ここでヒロインに隠された秘密が少し明らかになります。
結界は魔王の魔法ならざる力、超能力によって張られたもので、魔法しか使えないエルフや魔法使いでは歯が立ちません。
しかし、ヒロインは何故か結界を打ち破ることができたのです。
幼い頃から特殊な力に薄々気付いていたヒロインは自分の力に不安を感じます。それを支えるのが仲間や主人公です。
そして色々あって伝説の剣を復元します。
ちなみに刀匠(男)とエルフの長(女)は恋仲にあり、裂かれていた二人を幸せにすることで、主人公とヒロインの関係にも進展があります。この辺までヒロインが男装していることは主人公以外知りません。なんか、おいしいイベントができそうですね。いろんな意味でキーポイント!
伝説の剣を持ち帰った主人公たちは歓声と祝福と共に迎え入れられます。
しかし、帰り着いた城に王の姿はありませんでした。
伝説の剣の復元を聞いた神王は、魔王との最終決戦に備え、かつての魔王討伐の仲間である大魔法使いを訪ね、不在となっていたのです。
魔王も魔王で仕事をしており、そろそろ神王との一大決戦の準備が進行中であるとの報が入ります。
もう神王を待っていられない、次世代のニューヒーローを俺たちは待っている!
人々は主人公を新たな勇者として祭り上げ、魔王討伐へと送り出しました。
主人公たちも自分たちしかやれるものはいない、と覚悟を新たにラストダンジョンへと向かいます。
そして、ムカツクほど長いラストダンジョンを攻略し、ついに魔王と対面します。
若かりし神王を彷彿とさせる主人公、その顔を見る魔王の目は怒りに満ちていました。
かつて父・魔王を殺された光景が脳裏を過ぎったのでしょう。
「あの勇者の息子か!お前を殺すことは何よりの復讐だ!!」
荘厳なラスボスBGMとともに戦いが始まります。
初回トライで40分に渡るいい戦いでした。
魔王も第3形態まで粘りましたが、ダー○神殿で転職を繰り返し社会の荒波を乗り越えた主人公たちの前に、引きこもりニートは敗れ去るのみです。
魔王は瀕死の身体で涙ながらに呻きます。
「復讐を果たすことはできなかったか・・・」
死に行く魔王に最後の一撃を加えようとしたその瞬間。
「間に合わなかったか!」
そこに神王が仲間の大魔法使いを連れて現れます。
魔王は鬼の形相で神王を睨みます。(魔王の顔と鬼の顔のどっちが怖いのかは疑問ですが)
魔王「貴様、忘れは、忘れはせぬぞ、我が父の仇・・・そして、我が娘の仇ッ!!」
ここで回想
*
父・魔王と息子・魔王を相手に死闘を演じる勇者(神王)パーティ。
勇者「まだか?!」
大魔法使いは封印の魔法の詠唱を続けている。
大魔法使い「もう少しだ・・・!」
父・魔王「させるか!」
父・魔王が渾身の一撃を繰り出そうとした、そのとき!
「そこまでだ!」
勇者パーティの別働隊が現れる。
まだ幼い赤子である息子・魔王の娘を人質に・・・。
虚を突かれた父・魔王の首を、刀身を犠牲に断つ勇者。
同じく虚を突かれた息子・魔王に封印の魔法をかける大魔法使い。
封印に落ちる直前、息子・魔王が目にしたものは、人質に取られる最愛の娘と絶命する父の姿であった。
*
神王「ふん、もう少し生きて私の栄光の糧になって欲しかったが、こうなってはしかたあるまい」
主人公の仲間「神王様っ!どういうことですか?!」
神王「英雄王と持て囃しておきながら、平和になれば不要の長物として扱われる。恐ろしいものだよ、人は。私は、裏切られ、使い捨てられるために命がけで戦ってきた訳ではない!
まさか、魔王の結界を破り、本当に伝説の剣を復元するとは予想外だった。完全に魔族の力を封印できたと思っていたが・・・」
魔王「何を、言っておる・・・?」
息も絶え絶えに魔王が聞く。
神王「もうお前は用済みだ、予定より早いが、新しい魔王に生まれてもらおう」
大魔法使いが術を唱えるとヒロインの身体が光に包まれる。
ヒロインの身体が変容し、人間と魔物の間で揺れ動く。
魔王「・・・ま、まさか・・・」
死に行く魔王が最後に目にしたものは、美しく妖艶な魔物と化した最愛の娘の姿であった。
ヒロインの変容に、主人公たちに衝撃が走る。
神王「最愛の娘に殺されたなら本望だろう、ふはははは。さあ、主人公、こちらにくるのだ。その娘はもうお前の知るヒロインではない。魔性を解き放ち、私に騙された怒りと憎しみの塊、まさに復讐の魔物だ!」
言うが早いか、魔物と化したヒロインは神王に襲い掛かる。
神王「おイタが過ぎるぞ、小娘が!お前は大人しく魔物を率い、人々を襲い、私の栄光の糧となるのだ!復讐に焚けたお前の父親と同じようにな!!」
ヒロインの猛攻を防ぐ、神王の姿は、すでに人間ではなかった。
ヒロインの、その瞳には涙が、理性の輝きがあった。
神王「教えてやろう、これが最後の秘密だ。私は食らったのだよ。魔王を―――。」
主人公は剣を握りなおし、愛するヒロインのため、「本当の魔王」となってしまった父に剣を向ける。
これが、真のラストバトル。
死闘を制するはもちろん主人公。
物言わぬ王の亡骸を見やり、魔性の力をコントロールし、ヒロインの姿が元に戻っていく。
王の亡骸に涙を落とすヒロイン。そして、本当の父である魔王にも安らぎの祈りを捧げる。
2人にとって、これは決して「復讐」の戦いではなかった。
狂ってしまったものを諌める戦いであった。
凱旋後。神王と魔王は死闘の末に相打ったこととし、いくつかの真実を伏せ、不要の混乱を避けた。
主人公は剣を捨て、良き賢君となる。
ヒロインも后として人々の安寧に勤める。
魔性の力を使って、世の中の魔物をいい子にさせているのは、みんなには内緒だ。
―――――――― 完