夏の記憶~弐~
精神病と
を言うのだ。
『南の棟の絵本が好きな男の子は3日明後日には死んじゃうね』と笑うのだ
その日が来た時は担当の先生達は忙しそうだった…
私は廊下に向かってピエロの絵をジッと見た
その時…
!
今、そこに南の棟の男の子が立ってた気がした。
私は慌てて寝室に戻った、何も考えずに真っ先に向かった。
すると、そこにあったのは一冊の絵本。
『だいすきのきもち』
私は見覚えのない絵本にページを開いてしまった…
ままだいすきだよ
ぱぱだいすきだよ
ぼく…………だよ
一ページ目はお母さんとお父さんが書いてある絵、そこの横にペンで付け加えられた黒い人物…なんとか読める文字で『ぼく』とかいてある。
正式に印刷された文字にも付け加えられていてぼくの続きはぐしゃぐしゃに塗り潰されていた。
次のページをめくった瞬間。
私は目を逸らした…爪と思わしきものにペンで顔が書いてあって、後ろの背景は絵の具なのか血痕なのか判らないくらいに真っ赤に染められていた。
もともとこのページは指人形の家族が書いてあったのがうっすらうががえた。それにしても剥がした爪は私と同じぐらいで黄ばんでいて、爪は糊で着けられただけであった。
私は次のページを開く勇気がなかった、だが後ろですすり泣きが幽かに聞こえるのだ
私は、最後に一ページだけ捲ることにした
次のページを見た瞬間。
私は思わず絵本を投げてしまった。
絵本には、セロテープで何重にも貼り付けられたゴキブリの死骸が三匹貼り付けられてはいたのだ…
私は、ショックのあまりに身体から力が抜けて寝室の床に座り込んでしまった
絵本は投げた時に中身が伏せた状態で中間ぐらいのページで床に落ちたまま。
昼の日差しが私の目を差す。
床の冷たさ、施設の柔らかい空気に悪臭が漂うような空間。
やけに静かな寝室。
『かーごめかごめ かーごのなーかのとーりは いついつであうつーるとかーめがすべった…ウシロノショーメンダーレ』
唄……
私がゆっくり振り向いた時、そこにいた。
逆光のなかに満面の笑みで立つ、男の子が
指には爪は存在していなかった。
少女。