表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

目測はすれ違う

 私のカップアイスがさくさく減っていく。きみは驚くほど素早くアメリカンドッグを食べ終わって、横目で私のカップアイスの残りを勤勉な火山学者みたいに目測している。

 火山学者が私の家に持ち込んだ「アイスが早く溶けるスプーン」は実際名前負けせずアイスが早く溶けるので、私は小気味良くアイスの山を崩す。氷の城はあえなく領地を失っていく。

 スプーンがカップの一番底を打つ。きみが「あっ!」と声を上げる。

「どうしたの」

「何が? 何も言ってない」

「あんなに派手に『あっ!』と言っておいて『何も言ってない』はないでしょう」

「食べなよ。早く溶けるんだから」

 不機嫌に唇を突き出したきみの口にスプーンを差し出して、ひらいた唇にアイスの最後のひと口を押し込む。

「これが欲しかったんでしょう」

「別に」

「待っていたんでしょう」

「待ってない」

「私が最後のひと口をきみにあげるって確証を持っているんでしょう?」

「……そうだよ。きみはいつも最後のひと口をくれる」

「誇らしいな。いつでも私の最後のひと口はきみに予約しておきたい」

 私の今までの誠意がこのひとの最後のひと口への信頼を築いたのである。私はかなり自慢に思った。食い意地の張った犬みたいに私のそばに張り付いてアイスを目測しているきみはなかなかにかわいらしいし。

「いつもありがとう。とっといたよ。アメリカンドッグのいちばんおいしいとこ」

 きみがそう言って差し出したのは、アメリカンドッグの終盤も終盤、ソーセージがなくなって生地がカリカリになって棒にへばりついているあそこだった。



@aoyama_naname 無断利用・AI学習禁止

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ