第四十八話……天才女棋士は本物の愛を語る
それからお風呂に入ることになったのだが、まず皇帝と側女二人、テンさんが入り、テンさんが彼女達にマンネリ打破の方法を指南。
次に、テンさんは若者男性陣と男子風呂に入り、性欲の解消。
それと同時に、私とリアラ皇女は女子風呂に入っていた。
「リーちゃんは、フィーくんがテンさんとエッチなことしてても特に気にしないの? 自分で性欲処理するって言ってたのに」
「そうですね。自分でも不思議です。もっと嫉妬するのかと思っていましたから。お姉様の考え方に感銘を受けたからかもしれません。元々、結ばれるはずがない兄妹の関係にもかかわらず、その相手が全く信用できない人だったり、見知らぬ人だったりしたら、やはり嫉妬していたと思います。もしかすると、その場合は嫌悪に近いかもしれませんが」
「それは私もそうだよ。男の人はそういうものだと言ったものの、なんとなく嫌だよね」
「しかし、この状況もお姉様の想定内であることは間違いないのですから、すごいことだと思います。言い方は適切ではありませんが、お兄様含めて、あの方々をすでに囲い込んでいるということですよね」
「どうなんだろう。私が囲い込んで収まる人達じゃないとは思うんだよね。だからこそ、一緒にいてほしいのかも。そういう意味では、私とテンさんの好みってほとんど同じなんだよね」
「篩い落としと言ってもいいような気がします。お姉様は皆さんの愛の深さを測っているような……他の誘惑に負けているようでは本物の愛ではありませんよ、という……」
「まぁ、それは否定しないよ」
「では逆に、お姉様は先生やクーさん、バルさんが色々な地域を回っていた時は、どのようなお気持ちだったのですか? 多少不安な気持ちになっていたのですか? 彼らが自分以外の素敵な人と恋に落ちて、二度と会えなくなる不安とでも申しましょうか」
「不安と言うよりは、それも仕方ないっていう感じかな。私は彼らをできるだけ束縛したくなかったから。今でさえ束縛してるつもりはない。もしそうしてしまったら、彼らの魅力を削ぐことになると思うから」
「それはお姉様の魅力も、ですね。彼らもそれを分かっていると。理想の関係を」
「本当にありがたいと思う。テンさんがそのことを分からせてくれたんだよ。お互いの背中を押して、お互いの気持ちを確認させて」
「テンさんがいるからこそ、お互いの愛が深められるのですね。あの……お姉様……私、明日の夜にお兄様に抱いていただこうと思っています。テンさんの指導の下……よろしいですか?」
リアラ皇女は真剣な表情で私を見つめてきた。
「いいよ。リーちゃんも私の信頼している人間の一人なんだから。その方がお互いの気持ちがスッキリして良いと思う。って言うか、二人きりじゃなくていいんだ? 禁断感が薄れるから?」
「はい。その意味でも、お兄様の気持ちが楽になるのではないかと思いまして。私はお兄様とお母様、そしてお姉様がいれば、自分の子どもはいなくてもいいという立場ですから、兄妹愛とは別に、単に快楽で繋がっているのだという気持ちを持っていてもいいのかなと」
「なるほどね。そこまで考えるなんて、それこそお兄ちゃんへの本物の愛だ」
「ありがとうございます。お姉様への愛も本物ですからね!」
そう言って、リアラ皇女は私に抱き付き、甘えてきた。
「でも、もし子どもが欲しくなった時は相談してね。バルさんに協力してもらうとかも考えられるから」
「えぇ⁉️ バルさんと私の子どもということですか⁉️ お姉様からバルさんに命令して⁉️」
「例えばの話ね。フィーくんの子どもじゃないと絶対に愛せないって言うのなら仕方ないけど、『あ、この人の子どもなら産んでみたいかも』って少しでも思うのなら、選択肢として考えてもいいと思うんだよね。一般人と違って生活に困るわけでもないし、私達がいれば国との繋がりなんて意識しなくていいし、妊娠したら母性は必ず付いてくるものだし。もちろん、兄妹愛とは別にして」
「わ、分かりました……。お姉様の発想は本当に自由ですね……。凡人の私達には及ばない発想。まさに、お兄様が皇帝になられた後、皇后となるに相応しい器の持ち主です」
本当に不思議な兄妹だ。私はいつの間にか、リアラ皇女の幸せのことまで考えるようになっていた。
その理由は分かっている。清々しいのだ。その真っ直ぐさが。素直さが。
彼女の純粋さに、私の心も洗われるようだった。
それから私達は、お風呂から上がって部屋で一緒に寝ることにした。
ちなみに、男性陣は私達の一時間後にお風呂から上がったそうで、身も心もスッキリできたようだ。
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