第四十五話……天才女棋士達は恋多き女の昔話を聞く
「私は、所謂『恋多き女』でした。言い換えれば、すぐに目移りしてしまう。長続きしない。飽き性。恋愛下手。自分勝手……。自分でもよく分からなかったのです。どうしてそうなってしまうのか。申し訳ないと思いつつも、事ある毎に男の人を傷付けて、時には暴力も振るわれて……。でも、全て私が悪かった。
そんな時、すれ違いざまにセンちゃんに声をかけられました。雨の中、ずぶ濡れで俯いて歩いている私を心配したのでしょう。『どうしたの? 思いがけず男をフっちゃったみたいな顔して』と傘を差し伸べられました」
「……」
「私は驚きました。普通なら、『男にフられちゃったみたいな顔して』と言われるはずなのに、その逆を言われたからです。そして、『そんなんじゃ風邪引いちゃうから、そこのボード屋で雨宿りしようよ』と誘われるがままに店に入り、時間潰しに碁を打ちました。
終局後、『純粋な人が好きなんだね。自分に見向きもせず、自分が追いかけたくなるような人。だから、自分の方を向いてくれたら、自分は背中を向けてしまう』とセンちゃんに言われて、ハッとしました。今までの自分が、やっと腑に落ちたのです。
そこで私が、『どうすればいいのかな?』と質問すると、『直すのは中々難しい性質だね。割り切って旅先での一期一会を楽しむか、あるいは……そういう人達が集まる逆ハーレムに突っ込むか』と返されました」
「会話が母上とグランセンの時のようだが、逆ハーレムか……」
「どちらも思ってもいなかった答えなので、また私は驚きました。そこで、『逆ハーレムは面白いけど……夢だね。でも、そういうのはなんて言うんだろうね。金魚のフンかな?』と私が言うと、『素敵な仲間だよ。全員がお互いに受け入れないと成り立たないんだから』と素敵な言葉を返されて……私はセンちゃんのことが大好きになりました」
「なるほど。違いない」
「そして私が、『じゃあ、あなたの逆ハーレムに私を入れてもらおうかな。それまで一期一会を楽しむ。両方できるよね?』と言うと、『私はそんなつもりないんだけど……まぁ、とりあえずは私を夢にしてもいいよ』と言われたので、また腑に落ちたのです。私がセンちゃんをその場で好きになった理由が、心から理解できたからです」
「テン自身も一緒に夢を追いかけることができたわけか。それが希望となった」
「はい。ですが、気が付くと先程のような極度の人見知りになっていました。一期一会ではない出会いが怖くなったのです。『夢を追いかけられなくなると考えてしまうから』と、後にセンちゃんに言われましたが、それはとりあえず仕方がないという結論になりました」
「心が繊細なんだな」
「テンさんが気になっていることをもう一つ言っておこうか。『夢に追い付いた』場合にどうすればいいのか。新たに夢を作るか、その状態を維持することを夢にすればいい」
「医者になるのが夢だった奴が、いざ医者になったら燃え尽きてやる気を失うこともあるからな」
「店を持つことが夢でも、店を大きくするどころか維持するのも大変だったりするからなぁ」
「騎士や騎士団長も同じですね」
「そういう意味では皇位もそうですね」
「もちろん、愛も」
「僕は師匠を追いかけている途中です!」
「私も夢を見させてもらっているところですね」
「テンよ。お主ならこの場をどう見る? 誰よりも純粋な心を持つお主なら」
「もしや、陛下まで……。震えます……。震えて……涙が出て……よく見えません……。だから、あとでよく見せてください……。激しく抱き合った時に……」
「……。そうなるのか……」
「性病の心配はしなくていいらしいよ。『そういう人』を嗅ぎ分けてきたからって」
「あー、『純粋な人』が好きだからか……。いや、セン先生並の能力者だろ……。一応、問診はしておくぞ」
「本当にこれからどうなっちゃうんだ?」
「セン様がどうお考えか……」
テンさんが加わって、私達はこれからのことをどうするか話し合うことにした。
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