第四話……天才女棋士は第五皇子と進み始める
「パパ、ママ、ごめん! 今から、殿下と帝都に行くことにしたから! いつ帰るか分からないけど、手紙は出すね! でも、引っ越しの準備はしておいて! 本当に必要な物だけ持って行けばいいから! あとは全部、帝都で揃えればいいから!」
「な、なにっ⁉️ そんなこと急に言われても……!」
パパは戸惑っていた。
「急じゃなかったでしょ! さっき言ってたでしょ!」
「俺にとっては急なんだよ!」
「センの身の安全は大丈夫なの……?」
「それは、私の命と財産に代えてでも。もちろん、センさんの類稀なる才能があってこそですが」
ママの心配の声に、皇子は真剣な表情でお辞儀をして、誠意を見せた。
「……」
「……。あの……殿下に対して大変ご無礼かとは存じますが、もし何かあったら、この子と結婚していただけませんか?」
「ママ⁉️」
パパとママが顔を見合わせた後の、突然のママの発言に、流石の私も驚いた。
「だって、センは賢いから、男の人が近づきづらいでしょ? だから、これまで彼氏の一人もできなかったのに、頼み事されて色々なことに巻き込まれていたら、余計に婚活する時間もなくなるんじゃないかって……」
「うーん……まぁ、なんとかなるでしょ! その時は、思考停止してバカみたいに股開けばいいだけだし!」
「なぜそこだけ雑なんだ……。あの……私には婚約者がいるのでなんとも言えませんが、その点も必ず責任は取るので、ご安心ください。ご両親と彼女の子孫は、彼女が納得した上で、必ず残すと約束します。帝国にとっても、未だ見ぬ彼女の子どもが宝になることは間違いないですから」
パパとママが再び顔を見合わせ頷くと、二人はお辞儀をした。
「どうか娘をよろしくお願いします!」
「セン、気を付けてね」
「ありがとうございます。こちらこそ、末永くよろしくお願いします」
「ありがとう! パパ! ママ! いってきまーす!」
パパとママに笑顔で手を振って別れた私達は、ボード屋に対局者向けの手紙を預け、馬車屋に向かった。
そこには、皇子がここに来る時に使った馬車がそのまま置いてあり、それで帝都まで戻ることになっていた。
ちなみに、皇子の武器は馬車屋に預けていたらしい。見た感じ、皇子の剣は普通の剣より幅が広い気がした。皇族専用の剣なのだろうか。
辺りは夕暮れ時でそろそろ暗くなる時間帯だが、今から向かう経由地には、完全に暗くなるまでには着くはずだ。
「じゃあ、二つ先の『ポーリー村』まで、お願いしまーす! 途中の分岐で左でーす!」
「その村か、あるいはもう一つ先の村で一度宿泊し、未明に帝都に向かう」
「承知しました」
御者の返事と同時に、馬車はゆっくりと動き出した。
私達は、これから壮大な景色の中を走ることになる。
いや、今思えば、すでに走り出していたのだ。
あの対局の時から。
あの時の一手から。
今は隣同士で前を向いている二人。
その二人が、真剣に向かい合った時から。
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