第三十六話……天才女棋士は国王に謝罪させる
それから数手進み、私の手番でいつもより強めに石を打った。
「はい、これが勝負手です。私の宣言通り、石が全て繋がった『勝負あり』の手です。対局だけなら、ずっと前に勝負はついていましたが」
「ぐっ……! な……なんと無礼な……! 対局中にペラペラと……!」
その時、部屋の扉が兵士によってノックされた。
「殿下! サウエル国から使者が参りました!」
我ながらバッチリのタイミングだ。
「どうぞ!」
皇子の促しに、勢い良く飛び込んできた四人、内一人は両腕を引っ張られて、前に投げ飛ばされた。
「で、殿下! 誠に……! 誠に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!」
「お父様⁉️」
「っ……! 全部……全部、お前のせいだぞ、ロザリエ!」
「お、お父様、何を……きゃああああ!」
サウエル国王が、立ち上がった婚約者の腕を引っ張り倒して、彼女を無理矢理土下座させた。
頭を押さえ付けられているので、横顔がとんでもない表情になっている。
婚約者と共謀してアーリオを騙した担当者らしき人も、他の二人に押さえ付けられている。
見た感じ、押さえ付けているのは第一王子と宰相だろうか。
使者は役目を終えたので、この場には来ていない。
「全員控えろ! これからは、このセンが取り仕切る」
「ははぁぁっ!」
皇子の言葉に、頭を押さえ付けていた面々も横に並び、跪いた。
そして、私が椅子から立ち上がり、皇子の横に並んだ。
「まず、最初に言っておくことがあります。この部屋から許可なく出ようとした者は即処刑です。その上で、サウエル国王または代理の者が、親書記載の通り、嘘偽りなく全てを報告してください。私の全ての言葉は、殿下の言葉として受け止めてください」
「なぜあなたがそんなに偉そうに……!」
「黙れ! この親不孝者が! いや、売国奴が!」
国王が婚約者の頭を殴った。
「なぜ……なぜこのような……うぅ……」
「この親書を読め!」
「不肖私め、サウエル国宰相『ミハエル・プライル』から、大変遅れ馳せながらご報告申し上げます! なお、この際に我が国の担当皇族を耳にしたことをお許しください! そうでなければ、我が国が滅亡する危機に直面していたためです!」
「今回が初耳であれば、かまいません。続けてください」
私の促しに、宰相は深く頭を下げた。
婚約者は、そのまま持ってきてもらった親書を読んでいる。
「誠にありがとうございます! 事の発端は、第一王女であるロザリエ・サウエルが、我が国の前担当であるコードネル第二皇女殿下に、とあるパーティーで接触したことであります。そのパーティーについては、申し訳ありませんがこちらでは把握できておりません。普通のパーティーであると推察します」
「本質ではないので、かまいません」
「はっ! そこでコードネル殿下のお気に召されることで、フィールズ殿下の婚約者の地位を得たものと思われます。これは、本人が『私の日々の努力のおかげで、我が国が安寧を保っていられるのですよ』とフィールズ殿下の婚約者に指名された直後から現在まで、誇らしげに周囲に語っていたことから推察したものであります。
その繋がりをロザリエから利用したのか、コードネル殿下が上手くお使いになったのかは定かではありませんが、コードネル殿下からしばしばロザリエを通して、我が国の政策に介入してきたものと思われます。実際、それまでのロザリエは一切の政策を提案してこなかったにもかかわらず、ある時を境に次々と感嘆し得る政策を打ち出してきたからです。この度は、その実務者も連れて参りました。
これに関しては、我が国王も私も不審に思いながら、放置してきた現状があり、大変申し訳なく思っております!」
「……。それで?」
「い、以上です……」
「……。バルトン、宰相の左腕を切り落としなさい」
私の言葉が終わると同時に、床を蹴る音とヒュンという風切り音がほぼ同時に聞こえた。
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