第三十話……天才女棋士は黒幕と相見える
スッキリ目が覚めた翌朝、朝食を済ませ、時間通りに私達は全員で本宮廷の第一皇女の部屋に向かった。
わざと遅刻して相手を怒らせる選択肢もあるが、ここでは必要ない。別の方法の方が効果があり、その人の性格がより分かるから。
「失礼します」
私達が第一皇女の部屋にノックして入ると、中央に対局用のテーブルと椅子が置いてあり、彼女はすでにそこに着席、その周辺には彼女の側近含めて侍女達取り巻きが待機していた。よく見ると、皇后も観戦に来ているようだ。
「いらっしゃい」
「初めまして。私がセンシャル・ストラクツです」
「私がケイサール帝国第一皇女、アンジェナ・ケイサールよ。今日はよろしくね」
「よろしくお願いします」
第一皇女は独身、年齢は三十歳と聞いているが、彼女の美貌からすれば、年齢のことなどどうでもいいと思うぐらいの妖艶さを放っていた。それでいて、智慧があるのなら、どんな男でも魅了されてしまうのではないかと思わせるほどのカリスマ性を持ち合わせている印象だ。
間違いなく、現時点で最も皇帝に近い存在と誰しもが思うだろう。
もちろん、私達以外。
「じゃあ、持ち時間は一手三分の早めの碁ということで。砂時計は対局者が触らなくて結構」
「承知しました」
「姉上、私は碁をあまり打たないので分からないのですが、一手三分は早いのですか?」
皇子が皇女に質問をした。
「本当の早碁は、一手十秒や三十秒、一分未満が多いわね。チェスもそうでしょ? 普通は一手の時間に関係なく、他のボードゲームと同じぐらいの持ち時間で打つけど、碁の場合は最後まで行くと二百手以上になるから、時間がかかりすぎる。私達はそこまで暇ではないから、時間を節約したい。でも、ある程度の読み勝負もしたい。だからこの時間設定にしたの」
「ありがとうございます。よく分かりました」
「では、始めましょうか」
私の言葉に、第一皇女は何も言わなかった。
それはそうだろう。『その辺の下等ブス女が、私の部屋で、私主催の私主役のゲームで勝手に仕切るんじゃない!』と思っているのだ。
これで、ある程度この皇女の性格が分かった。
それから、無言で黒石白石を『ニギリ』で決め、私が黒で先に打つことになった。
『ニギリ』とは白石を片手で複数握って、相手がそれを奇数か偶数かを当て、当たっていれば黒石を持つという手続きだ。
おそらく、私が仕切らなかったら、今と同じく私は黒石を持つことになっていただろう。『ゲストだから有利な黒を持たせてあげる』などと言って。その上で自分が勝てば、実力差が明白であることが分かる。
しかし彼女は、私のたった一言で内心ブチ切れているので、そんな余裕も見せなかった。
さて、そんな彼女のお手並みを拝見するとしよう。
「では、お願いします」
「……。お願いします……」
他の人には分からないレベルで微妙に不貞腐れていた皇女を他所に、私はすぐに一手目を中央の『天元』に打ち、『智慧比べ』の対局が始まった。
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