第二十九話……天才女棋士は『女子風呂事件』に巻き込まれる
「センさんは本当に脱いだらすごいのですね。白く綺麗な肌、スタイルも抜群。胸は小さく見せていたのですね」
大浴場に着き、男女別れて中に入ると、リアラ皇女が私の身体を見て褒めてきた。
フィーリアさんと彼女お付きの侍女それぞれ二人、計四人もいるので、私のことは普通に呼んでいる。
「いやぁ、お二人こそすごいですよ。私なんて全然」
大浴場は三つのお風呂に分かれていて、中央に一番大きなお風呂、左右手前にそれより少しだけ小さめのお風呂があり、男女で分ける時には、中央を境に仕切りを置き、左右のお風呂だけを使う。
つまり、中央のお風呂に行けば、普通に混浴ができるし、大声を出せばコミュニケーションもできる。
「それにしても、人に洗ってもらうなんて、子どもの時に母から洗われて以来ですよ」
「体の隅々まで綺麗にしてくれますからね」
「側女としては、陛下のご期待にいつでも応えられるように、皇女としては、いつでも清潔さを保てるようにとのことですね。私は陛下と一緒に入ることもありますよ」
木の椅子に座ると、侍女から適温のお湯を足から順番に上に向かって何回かに分けてかけられ、最後は頭からかけられて、髪から洗われることになった。
石鹸も高級品らしく、泡立ちが異常に良かった。
「それではセン様、両手をお挙げください。……。もしかして、無駄毛があまり生えない体質なのですか?」
「あ、はい。ウチの母親の家系はそういう感じみたいです」
「羨ましいです! リアラ殿下もフィーリア様もそうですが!」
「まぁ、世の中には毛フェチの男の人も多くいるらしいので、どっちでもいいと思いますけどね。その人に聞いてからどうすればいいか考えてもいいと思いますよ。それまで誰にも見せないようにすればいいだけですから」
「た、確かに……その方が効率的ですね……。すごいです! 流石、名探偵の頭脳です!」
「いや、大したことじゃないですよ、本当に。その内、誰もそう呼ばなくなりますから」
それから私は、『そんな所まで洗われるの⁉️』と驚きつつも、全身を隈無く綺麗にされた。
「それでは、あなた達は脱衣所で待っていてもらえますか?」
『はい、承知しました』
リアラ皇女が侍女を下がらせて、私達三人は湯船に浸かることにした。
「ふぅ……。ようやくお姉様と裸同士でイチャイチャできますね!」
「えぇ⁉️」
そして、湯船に浸かるや否や、リアラ皇女は後ろから抱き付いてきて、私の耳元で囁いた。
「約束したじゃないですかー。私がお姉様をもっと気持ち良くさせてあげますからね。きっと、男性陣もお互いに気持ち良くなってるはずです!」
「流石にそれはないでしょ! 本の読みすぎだよ!」
「まぁまぁ、センちゃん。明日は思い切り力を出せるように、リラックスした方が良いよ」
一体どんな教育方針をしているんだと私が思っていると、リアラ皇女の指が触手のように私の身体をまさぐりはじめた。
この二人、覚えておけよ……。私の洞察力を駆使して最高の快感を味わわせてやるんだから……。
そして私達は、全員スッキリした気分でお風呂から上がった。
「……。なぜ、センが真ん中に……」
侍女に体を拭いてもらって外に出る際、リアラ皇女とフィーリアさんが、まるで恋人のように私の両腕にそれぞれしがみ付き、指を絡めて私の手を握り、私の肩に頭を預けてきた。
その光景を見て、皇子達はポカーンと口を開けていた。
「一体、何があったんだ……」
「これもう『宮廷女子風呂事件』だろ……」
「いつか解明されることを祈ろう……」
「セン殿なら……セン殿ならきっとやってくれる……!」
それから私達は第十側室に戻って、そのまま三人でベッドに入り、眠りに就いた。
隣のベッドには皇子が寝ることになり、真ん中奥の部屋にはバルさん、右奥には先生とクーさんという配置だ。
今日は大きな出来事があったものの、無事に終えることができた。
バルさんも仲間に加わり、身の危険に関してはほとんど考える必要がなくなって、とても心強くなった。
しかし、『この一局』はまだまだ序盤。
明日の第一皇女との対局によって大勢が判明し、こちらの戦略が確定する段階だ。
ただし、そこでいきなり不利になっては元も子もない。
私は夢の中で起こり得る多数の局面を思い浮かべ、慎重に策を練っていた。
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