第二十三話……天才女棋士は事後に疑問を抱く
「失礼します」
侍女に用件を言ってから、私達四人は皇帝室に入り、皇帝の前で跪いた。
先生達には第十側室に留まってもらっているので、私達サイドは私と皇子だけだ。
そして、先ほど起きた事件を私から説明し、皇帝の判断を仰いだ。
「よかろう。二人の手腕を見せてもらおうか。では、下がってよいぞ」
「は! 誠にありがとうございます、陛下!」
「それでは、陛下。朝食は申し訳ありませんが、遅めになります。また、トール医師の午後の健診に合わせて、保養施設と建築コンサルタントの件でご相談に参ります」
「分かった」
「……」
そして私達は、皇帝室を後にした。
「お兄様、いつなら空いてますか? 側近含めて打ち合わせをしましょう」
「定時内で、午前なら十一時、午後なら四時から三十分だけだ。」
「では、午前十一時に私の執務室で。そのぐらいはいいですよね?」
「ああ。今回の件では、全て俺の方から出向く」
「……」
この二人……。特に第一皇子……。
「では、失礼!」
私達がゆっくり歩いていると、第三皇女が足早に城に戻って行った。
そこで私は機を見て、第一皇子に後ろから声をかけた。
「なぜあなたは……バカを『演じる』のですか?」
「……。俺には後戻りなどできない。お前には……いや……お前なら分かるだろう? あんなつまらない事件を解決したからという理由ではなく、父上にあれほど信頼されているお前であれば……」
私には分からなかった。
「フィー、その女……センシャル・ストラクツを死なせるんじゃないぞ。我が帝国のために……お前自身のために……」
「兄上……。はい、もちろんです!」
「……」
私の名前をしっかり記憶し、担当国が多く多忙なはずなのに、自分のスケジュールを正確に把握できているほどの男が……。
「……さらばだ」
自分の人生を犠牲にしてまで、母の愛に応え、それが間違っていると母に現実を突き付ける、その意味が……。
私の選択が正しかったのかどうか……。
私にとっては受け入れ難い、その揺るぎなき誇り高い感情は、私の読みにはなかったから……。
その真相を聞く日が来ることを、私は願っていた。
そして、こんなに明るい朝なのに、暗い影を落としつつも、その大きく見えた背中と両肩に乗った重い覚悟に、私はいつの間にか敬意を表していた。
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