第十四話……天才女棋士は準備を依頼する
「さて、これからの予定ですが、まず城内清掃員のアーリオに会いに行きます」
「アーリオ⁉️ アーリオってあのアーリオか⁉️」
「って言うか、センちゃんも先生もアーリオのこと知ってるんだ⁉️」
「やっぱり、先生もクーさんもアーリオと知り合いだったかぁ。備品や食材の仕入れで関わってたはずだからね」
「ああ。だが、いつからか会うことがなくなり、どうしているのかと心配になっていたんだ」
「俺は、少なくとも両親はどこかで普通に暮らしてる、みたいな噂は聞いてたけど、真偽は確かめてないからさ」
「あ、私もお兄様のことでアーリオさんと少し話したことがあります。世間話程度ですけど」
リアラ皇女がアーリオと話したことがあるのは、想定済みだ。
「普通は、皇族と清掃員が話すだけでも清掃員の方が怒られるとは思いますが、アーリオなら自然にその流れに持って行けるでしょうね。リアラ殿下が通り過ぎる時に、『フィールズ殿下の素晴らしい佇まいに似て、その美しさに見惚れてしまいました』と言えばいい」
「まさにそのようなことを言われました……が、その前にお姉様! 私ともトール先生やクーさんと話している時のように、親しげに話してください! 私のことはリーちゃんと呼んでください! 皆さんも!」
「俺からもお願いする。少なくとも、この建物内では。俺はここをそういう空間にしたいんだ」
「あ、センちゃんは私を『お母様』と呼んでくれていいからね」
リアラ皇女は、かわいく怒り、皇子もフィーリアさんもどさくさに紛れて、タメ口の要望を口にした。
「母上もですか……。吹っ切れましたね。良いことですが……」
「分かった。嫌だと言っても命令だと言われるからね。『お姉様』『お母様』はどうかと思うけど……。とりあえず話を進めると、さっきの別ルートって言ったのは、アーリオのこと。それとは別にもう一つあるんだけど、まだ確保できてないから、それは置いておく。
いずれにしても、フィーくんの婚約破棄に持って行くつもり。印象が微妙すぎるからね。次に婚約者と会うのはいつ? そこでハッキリ見極める。ある程度、予想できることだけど」
「次の土曜日。向こうから帝国城に来ることになっている」
「三日後か……。多分、丁度良いかな。じゃあ、今夜以降の安全を図るために準備をしようか。地面に刺す杭、ハンマー、ロープ、鈴、スコップ、紙、針、紐、土、水、ジョウロが必要。この入口周辺を立ち入り禁止区域にする。もちろん、他の人には頼らず、私達だけで。窓が大きかったらその周辺もそうするけど、ここは小さいから必要ない」
「……。確かに、より安全にはなるが……。花壇でも作るのかという準備品だな。とりあえず、言われた通りにやってみるか」
「今から詳細と必要数を書き出すから、私達がアーリオに会いに行っている間、リーちゃんとお母様で侍女か兵に頼んでおいてくれる? 私達が生活に直接関係ない物を依頼すると、余計に怪しまれちゃうから。目的を聞かれたら、陛下の勅命だって言えばいいから。実際にそう言われたから遠慮なく。持って来てもらったら、中には入れずに、そのまま外に適当に置いておいてほしい」
『了解です!』
そして私達は、アーリオに会いに行くため、歩いて城に向かった。
「それにしても、あんな物言いから始まって、よく二人を懐柔できたよな」
「どんどん仲間が増えて行くぅ! 殿下方の気を晴らし、住処を確保。また一石三鳥だ!」
「彼女達が殿下を好きな理由の一つに、裏表なく素直だからっていう側面があるからね。ハッキリ言った方が好感度高いんだよ。たとえ瞬間的に怒ったとしても、チェスを嗜んでいるなら、あとで冷静に考えられるし、反省もできるはずだし。
あと、クーさん。一石三鳥じゃないんだよねぇ。これは、出発前に殿下にも示唆したことだけど、溢れる愛が暴走して、私達の命が危険に晒されないようにもした。それは流石に、二人の前では言えないからね」
「そして、まだ策が張り巡らされている。そんな気がする。一石四鳥でも収まらないな」
みんなは『うーん』と唸りながら、私に感心しているのか、引いているのか分からない反応をしていた。
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