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天才女棋士は第五皇子を皇帝にのし上げる~帝国宮廷事件真相解明局譜~  作者: 立沢るうど


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第十一話……天才女棋士は皇帝の昔話を聞く

「どれどれ……」


 クーさんが朝食をじっくり観察し、同時に匂いもじっくり嗅いだ。


「これ……毒見する部分だけ、塩振ってないな……。じゃあ、いただきます……うん、毒見部分は普通……。それ以外は……うわ、しょっぱ! マジで死ぬわ、これ!」

「じゃあ、私も一口……まっず!」

「スープは流石に普通だな。分離して毒見できないからな。しかし、酒の量が多いな」

「父上、誰が毒見をしていたんですか? 調理師がここに来なかったということは、やはりあの女ですか?」

「ああ。なぜ皇后が毒見をする必要があるのかと思っていたが……」


 皇帝は落ち込んでいた。


「『あの調理師は私も推薦しましたから、私にも責任があります』とでも言われましたか」

「っ……! 一言一句、その通りだ」


「母の愛が子どもに完全に移ることは珍しくありません。皇后は、愛する息子である第一皇子を皇帝にすることで頭がいっぱいなのです。皇帝が崩御すれば、第一皇子が皇帝になるから。

 ただしその後は、第一皇女が第一皇子を殺す可能性が高い。それは皇后が予期していないことです。自分が愛する実の子ども同士が殺し合うはずはないと思っているからです。第一皇女については、すぐに見極められる機会が来るはずなので、その時に改めて推察しましょうか」

「そうか……。やはり、信じられるのは『彼女』だけか……」

「……。それは、私の実母である『フィーリア』のことでしょうか」


「そこまで信じられる側室も珍しいような……。もしかすると……」

「ああ。彼女はグランセンから紹介された」

「そんな繋がりがあったとは……。世の中は狭いものですね」


「陛下のご体調さえよろしければ、この際にお聞かせ願えないでしょうか」

「分かった。まず、グランセンのことだが、わしが公務で地方に足を運んだ時に知り合った。一目見て、心を奪われるほどの魅力と只者ではないオーラを感じたな。今だから話せることだが、婚約を破棄して彼女に猛烈アタックしたくなるほどに。その時は彼女も独身だったからな」

「……」


「ちなみに、おじいちゃんはセクハラ大魔神だったらしいです」

「やはり、グイグイ押してくるタイプが好きだったか……。わしの見立ては間違っていなかったな……。まぁ、それはともかく……身分を隠した上で、わしから話しかけると、『私のことを知りたい? じゃあ、ゲームしようか』と言われて、なぜかチェスを指すことになったのだが、そこで逆に全てを見透かされた。『婚約者とこのまま結婚してもいいのだろうか』『早くして皇帝に即位したものの、この先どうしていけばいいのか』『将来の皇位継承戦をどうするのか』等々のわしの悩みを、彼女は対局を通して把握したのだ」

「センと全く同じですね」


「いやぁ、流石にそこまで行くと超能力ですよ」

「……。終局後、『私が言うのもなんだけどさ、やってみないと分からないこともあるんだよね。ただ、取り返しが付かないことにはしたくないよね。じゃあ、どうすればいいか。立ち止まって考えること、後ろを見て反省すること、先を読んで一歩だけ前に踏み出すこと。つまりどういうことだと思う?』と言われた」

「……」


「対局そのものですね。しかし、陛下はすでにそれができていた」

「その通りだ。そのあと、『人生なんて最後に笑ったもん勝ちだよ。別に笑えなかった人が負けってわけじゃない。この世は、勝負の世界じゃないんだから。本当は、世の中の全員が笑っていられればいいけど、そんなのは無理だから、少なくとも自分の周囲ぐらいは笑っていられるように生きたいよね』とも言われた。

 そして、『今日のことを忘れなければ大丈夫だよ』と最後に言われて、別れた。まぁ、その前にわしが食い下がって、宮廷で三回だけ対局してもらえることになったが。

 対局と言っても『アレ』のことじゃないぞ。純粋なチェスの対局だからな」

「いや、分かってますよ……。それはともかく、微妙に押しに弱いところも似ているな……」


「しかし、その三回がなければ、殿下も生まれていなかったのでは?」

「そうだ。グランセンは一回目の訪問で、わしと宮廷の状況を見て、これなら旅先で出会ったフィーリアを紹介できると思ってくれたからだ。フィーリアの家は貧しく、母親は病弱体質だったので、一人娘しかいない。しかし家族全員、心は優しく、そんな中でも小さい幸せを見つけて生きて行こうという考えだった。

 ただ、グランセンにはそれが無理だと分かっていたようだ。この家族は、絶対に他人に陥れられると確信していた。今までは運が良かっただけ。この家族を破滅させてはいけない、死なせてはいけないと考え、二回目の訪問前にフィーリアに『皇子様』が迎えに来ることを匂わせ、訪問時にわしにも匂わせることで成功を確信。

 そして、三回目でわしの側室としてフィーリアを迎え入れるよう進言してきたという経緯だ。グランセンが仲介したことは、フィーリアには話すなとも言われた」

「なるほど……。しかし、グランセンであれば、側室以外の別の方法も考えられたのではないですか?」


「いえ、殿下のお育ちから推察するに、フィーリアさんはとんでもなく美人で優しかったのでしょう。そのような人は、この時代においては不安とリスクを生涯抱えて生きなければなりません。しかし、宮廷であれば、安全が保証されると考えたのです。そして、おばあちゃんは……ここに私が来ることを読んでいた……」

「やはりそうなるか。そうでなければ、皇位継承戦の最中か後には危険になるからな」

「ま、まさか、そんなことが……。だって私は、父上からも母上からもセンの話どころか、おっしゃる通りグランセンの話も一言も聞いてないんですよ? 私がセンに辿り着くヒントなど全くないではないですか!」


「おばあちゃんは、『棋士には、勘や閃きも大事なんだよ』と言っていました。きっとその時、運命を感じたのだと思います。その運命が巡り巡って私達を引き寄せたら面白いよねって」

「おそらく、それが彼女の魅力だったのだろうな。賢明なだけではない。慧眼を兼ね備え、その性格も清々しくて心地良かったのだ。だから、お主達にも惹かれた」

「……。まぁ、結果オーライか」


「ふふふっ、殿下のそういうところ、魅力だと思いますよ」

「……。フィールズ、センと結婚するなら、今の婚約を破棄してもよいぞ」

「父上⁉️」


「陛下ぁ~、親の昔の願望を子どもに実現させようとするのは良くないですよ?」

「すまんすまん。だが、センとの結婚は別にしても、婚約破棄の選択肢は考えてかまわない。なんと言うか……フィールズがこの輪の中にいるのを見ると、あの王女がここに加わっていることが想像できないと言うか……。親の無責任だと怒るかもしれないが」

「……それは……なんとも言えません……」


「……。とりあえず、フィーリアさんにご挨拶に行きましょうか。できれば、殿下も含めて私達はそこで寝泊まりしたいのですが」

「分かった。足りない物があれば、兵や侍女に言うといい。何か言われたら、わしの勅命だと言えばいい。保養施設の件は、すでに命令しておいた」

「ありがとうございます、父上!」


 それから私達は、フィーリアさんのいる後宮廷に向かった。


 こんなことがあるんだ……!


 こんな出会いがあるんだ!



 私は、この運命とおばあちゃんに感謝し、気付くと少しだけ体が浮き上がるように歩いていた。

「面白かった!」「つまらん……」

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最後に、本話をお読みいただき、ありがとうございました!


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