第十話……天才女棋士は未来を見据える
「もう一つ。先生の話を聞いて確信しました。この世界の……少なくとも我が帝国の医学書のレベルは異常です。加えて、薬品や食品の成分分析など、現代の技術レベルで行えるはずがない。その原典はどこにあって、誰が書いたものなのですか?」
「いや、分からないんだ。俺達医師はその通りに勉強するだけ」
「では、その医学書から逆算して手術器具加工の技術開発を行っている国はありますか?」
「もちろん作っている所はあるが、逆算前提なら、俺の知る限りでは、ないな」
私が他の人達を見渡すと、先生の否定に合わせて、全員が首を横に振った。
「分かりました。では、我が帝国を最先端技術立国に発展させましょう。目標は、他国より二百年先を行きます。そして、大陸全土を一度統一しましょう」
『なっ……!』
私の言葉に、全員が驚愕していた。
「その過程で、世界の謎にも迫れるかもしれません」
「ま、待て、セン! どういうことだ⁉️」
「医学書の原典が仮に海外からもたらされた場合、この大陸の文明レベルは、原始人レベルなので、一瞬で滅ぼされるか、奴隷になってしまいます。それでは、殿下の身が危ない。それまでに少しでも技術レベルを上げ、確実に私達が交渉の窓口になるようにしておきたいということです」
「な、なるほど……。俺達が知らない外界があるかもしれないということか。しかし、とんでもなくハードだな……」
「はい。そして、海外からではなく、別の空間からもたらされた場合も同様です。言い換えるなら、もし大量に異世界の人間が通れる出入口、次元の裂け目のようなものが出現した場合ですね。やはり、この世界が滅ぼされてしまいます」
「い、異世界⁉️」
「私達よりも遥かに技術が進んだ世界、あるいは魔法や夢のような能力が存在する世界かもしれません。滅ぼされるかどうかは別にして、原典については、どちらかと言うと異世界説の方が有力です。海外であれば、この大陸や周辺の島々が不思議な力で完全に断絶されていない限り、見つけていないはずはないからです。ちなみに、言語的な観点から、宇宙からの贈り物の可能性は低いと思います」
「……」
「もちろん、私達がいくら頑張っても、発展には時間がかかるでしょうから、今言ったことは一旦忘れて、やるべきことをやっていくという気持ちでかまいません。しかし、実は知らないルールを利用されて蹂躙されたなんてことにはしたくないので、この際、先の話をしました。それに、目標が定まると、意志を統一しやすいだけでなく、過程の説明も省きやすいですからね」
「……。ち、父上、よろしいでしょうか……」
「……。と、とりあえず、飯だ! 腹が減っては戦はできぬ!」
「では、陛下! 私がオススメするサンドイッチをお召し上がりください! これは、野菜、卵、チキン、その他諸々が入った朝の完全食です! まさに、朝から元気に活動したい人向けの朝食です!」
「殿下、水はどちらに? 食後の服薬にも使いたいので。私が直接行って、持って来ます。『毒水』になっていては大変ですからね」
それから、皇帝の朝食を済ませ、私達は木箱を持って一度退出。
普段ほとんど使っていない殿下の部屋にこっそり移動して、木箱から取り出した朝食をいただきつつ、待機した。
その後、作戦通り皇后達が再退出した頃合いを見計らって、元の朝食を確認するため、再度皇帝室に入った。
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