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ポーションを売っていたら

「ポーションはいりませんかー? 通常のより効果の強いポーションですよー!」

「すごいポーションあるよー! 安くて強いポーション!」

「初級ポーションより効果が強めのポーションです。お値段は据え置きで金貨三枚でお得ですよ」


 イルファに緑がかったポーションを作ってもらった次の日の朝。

 俺たちはさっそく街のすぐ北にあるダンジョンの入り口前でポーションを売っていた。

 俺たちの他にこんなところで商売をしている人はいない。

 ダンジョンに潜る予定の冒険者なら、あらかじめ街で必要なものの準備を済ませてきているはずだからだ。


 だが、だからこそ俺はここに商機があると思った。

 あってもなくても困らないものならともかく、体力を回復させるポーションは冒険必需品だ。

 買い忘れる冒険者はいないだろうけど、通常より効果の強いポーションが通常とおなじ値段で手に入るなら買っておいて損はない。

 そう考えているとさっそく声がかかった。


「通常より効果の強いポーションだって?」

「はい! このポーション、緑がかっていますよね。青い初級ポーションよりすこし効果の強いポーションなんです」

「ふむ……。ちょっと待っててくれ」


 背中に剣を背負った男はパーティメンバーに何やら相談して戻ってきた。


「値段は金貨三枚なんだな?」

「はい、通常とおなじ値段になります!」

「それなら三本くれ。いざという時に必要かもしれない」

「ありがとうございます!」


 俺はポーションを三本手渡して、代価として金貨九枚を受け取った。

 よっし!やっぱり売れる!

 たしかな手応えを感じて思わずコブシをにぎった。

 リオのほうを見てみると、


「おにーさん、このポーション強くて安いよ! お買い得だよ~」

「安いとか言って、どうせボッタクリなんだろ?」

「なんと普通のとおんなじ金貨三枚! ボクはウソをつかないよ! こんなに安いの今日だけだよ~」

「なにっ! うむむむ……わかった、一本だけくれ」

「まいどあり~!」


 そこはかとなく、うさんくさい掛け声でしっかりポーションを売っていた。

 一方、イルファのほうを見てみると、


「通常より効果の強いポーションを作ってみました。はじめての販売なので通常とおなじ金貨三枚でお売りしています」

「おおっ、これは……緑がかったポーションか」

「通常のポーションの三割増しほど回復できるポーションです」

「こんなポーション見たことない……。いったいどうやって作ったんだ?」

「申し訳ありません。それは秘密なんです」

「むぅ……今すぐ必要かは分からんが、これはめずらしいポーションだな。うーん、買った!」

「お買い上げありがとうございます~」


 丁寧な言葉遣いで見事にポーションを売っていた。

 元気よく声をかけるリオとはちがって、イルファは丁寧な対応を武器にして声をかけていた。

 うーむ、二人とも商売が上手だなぁ。

 俺も負けてられない。


「通常より効果の強い、緑がかったポーションはいかがですかー?」


 ダンジョンに向かう冒険者が途切れるまでが勝負だ。

 俺は大きな声を張り上げて冒険者たちに声をかけていった。




 天高くお日様も昇ってお昼前。


「ふぅ、完売した~」

「ぜんぶ売れたよ~」

「バッチリ売れましたね!」


 俺たちは五十本ほどのポーションをすべて売り切ることに成功した。

 通常のポーション売りでも半日でこれだけ売るのは至難の業だ。

 いくら必需品といってもポーションはけっして安い商品ではない。

 金貨三枚は銀貨にして三十枚、銅貨なら三百枚分であり、一本で銅貨五枚だった肉串と比べるとどれだけ高価か分かるだろう。

 それでも売れたのはイルファのおかげに他ならない。

 通常よりも強い効果をもつポーションだからこそ売れたのだ。


「みんな緑がかったポーションっていうのに興味津々だったよ」

「うんうん、みんなめずらしい!って言ってた」

「これもぜんぶイルファのおかげだね」

「イルファのおかげ! イルファすごーい!」


 俺とリオが手放しに褒めたおすと、さすがのイルファも「そ、そんなに……褒めないで、ください……」と小声でつぶやき、顔だけでなく長い耳の先まで真っ赤にして照れてしまった。

 スタイルが良くて大人の女性っぽく見えるイルファだが、こういうウブで可愛らしいところもあるんだな。

 リオとイルファが「あはは、耳まで真っ赤~」「からかわないでください!」と平和なやり取りをしているのを見ながら、俺は街にもどったら昼ご飯は何を食べようか、などとのん気に考えていた。


 そんな時、ダンジョンの入り口のほうから声が聞こえた。

 声、いや大声、あせったような声?


「なんだろう?」

「ケガ人がいるみたいです! 行ってみましょう!」


 耳のいいイルファにはわずかに内容が聞こえたようだ。

 俺とリオもイルファに続いてダンジョン入り口に急いで向かった。

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