スローライフを求めて
治療院の戸を開けてベクター先生に挨拶する。
「おはようございます、先生」
「おはよう、ライド君」
いつものポーションの納品だ。
緑がかったポーションは相変わらず需要があり、いい商売になってくれている。
「そういえば王都の王国騎士団から手紙が来ているぞ」
「王都の騎士団から?」
俺は受け取った手紙を乱暴に開封した。
中の便箋にはキレイな字がつづられており、ミラルからの手紙だとすぐわかった。
書かれている内容によると、俺たちの提案した通りに作戦を進めた結果、弱みを握られたミンドス商会は表の商売で手一杯になり、貧民区域からの撤退を余儀なくされたとのことだ。
これでザンガファミリーとのいざこざもなくなり、教会にもパスード病の治療薬を安心して届けることができる。
「君のおかげで王都との取引でツテを持つことができた。感謝しているよ、ライド君」
「いえいえ、雪見草の管理もしてもらってますし、お互い様です」
俺は治療院を後にし、グローブ工房に顔を出した。
「よお、嬢ちゃんなら工房で剣を打ってるぞ」
「今日はできあがった剣の輸送の手続きに来ました」
ラキスが黙々と製作を続けている騎士団用の剣を王都へ運ぶ手続きが必要だ。
今日は持ち出せる剣の量を調べ、輸送用の馬車を手配するつもりで来た。
「しっかし嬢ちゃんも精が出るねぇ」
「ラキスも初の依頼で嬉しいんだと思います」
「なるほどねぇ。俺の若いころを思い出すよ」
「……手続き書はこれで大丈夫ですよね?」
「おう! 後は俺に任せときな」
「よろしくお願いします!」
グローブ工房を出たら屋台で肉串の販売だ。
今日はあれやこれやと忙しい。
「ライド、おっそーい!」
「ごめんごめん」
「設備の準備はしておきましたよ」
「ありがとう、イルファ。さあて、じゃあバンバン焼いてどしどし売っていこうか!」
俺は焼き網に肉串を配置し、火を入れた。
すぐに美味しそうなニオイとジュ〜という音が屋台の前に広がる。
「さあさあいらっしゃい!美味しい肉串は食べなきゃ損だよ!」
「ジュワッとおいしい肉串だよ〜!」
俺たちは今日も今日とて、忙しくものんびりと商売に励むのだった。




