サーカスの出店
サーカスのショーは三週間くらいやるようで、俺たちは最初の一週間はサーカス前で出店を出すことにした。
ショーは夕方と夜の一日二回、開催される。
サーカス団は街の門から出てすぐのところに巨大なテントを設置し、そこでショーを開くようだ。
俺たちはサーカス団のテントへ続く道のわきに出店を構えて初日を迎えた。
夕日の射すなかで人々が列をなしてサーカスの巨大テントへ向かっていく。
「おいしいリンゴジュースはいかがですかー?」
「さわやかなリンゴジュースだよ~」
俺が育てた新鮮なリンゴをすりつぶして作ったリンゴジュースだ。
台の上にはジュースに使われた赤くて美味しそうなリンゴも置いてある。
「おいしそうだね。三つもらおうか」
「まいどありー!」
小さな子連れの親子がさっそく購入してくれた。
そんな俺のとなりではイルファがハンドタオルを広げて声をあげていた。
「サーカスの動物をあしらったハンドタオルです。普段使いもできて可愛らしい刺繍がポイントのタオルですよ」
「男のヒト向けのハンカチもあるよ~! サーカスの記念に買ってって~!」
イルファがハンドタオルを広げて刺繍を見せ、リオはハンカチの刺繍を強調して声をあげた。
こちらは若いカップルが足を止め、お互いにハンドタオルとハンカチを購入して交換するみたいだ。
うまく売れていていい感じだ。
問題はラキスだった。
「ど、動物の顔をかたどったブローチはどうだ? 動物のシッポを模したペンダントもある。ぜひ見ていってくれ」
真面目なラキスはあまり愛想をふりまくというのが得意ではないみたいだ。
慣れだとは思うが、こればかりは適材適所というものだろう。
そこは人見知りをしないリオが加勢して、
「そこの坊や! カッコいいライオンのブローチが似合いそうだね。ちょっと付けてごらんよ!」
「え、ライオンのブローチ?」
「ほらほら! ……わぁ、カッコいい! おひとつどうかな?」
「パパ、ママ! ぼくこれほしい!」
男の子は目をキラキラさせて両親にブローチをせがんだ。
親子連れに積極的に話しかけてさっそく成果を出していた。
「リオ、すまんな」
「いいっていいって! こんなによくできてるんだもん! ちゃんと声をかけたらすぐ売れるよ!」
その後もリオは女性に「おねえさん、このペンダント似合いそうだね。ちょっと首からかけてごらんよ!」と勢いのあるセールストークでどしどし売っていった。
一人で来た男性にはリアルで精緻な渋みのあるブローチを、子どもや女性にはデフォルメされた可愛い商品をオススメしてしっかりお客さんのハートをつかんでいた。
俺とイルファも負けじとリンゴジュースとハンドタオルとハンカチを売っていった。




