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サーカス団がやってくる! 4

「いいですかリオ、ゆっくり糸を通していくんですよ」

「うぇーん、めんどくさい~」


 リビングではイルファとリオがハンドタオルに刺繍を施している。

 こういった細々とした作業がイルファは得意らしい。

 逆にリオは大雑把なので数分に一回はタオルを投げだしていた。

 だが、それも最初のうちだけで、イルファが懇切丁寧に教えてあげるとリオもコツがつかめてきたようで、文句の数も減っていった。

 コツコツ作業することで一つのものが完成する喜びを知ったみたいで、初めてできたタオルを俺に「ライド見て見て~!」と見せてきたりした。

 ギリギリ犬に見えなくもない処女作に、俺は「お~、いいじゃないか!」と大げさに褒めてあげた。


 時間もないので大きなタオルではなく、女性向けの小さなハンドタオルに刺繍をしようと言い出したのはイルファだ。

 こういうところは女性ならではの発想で、俺なんかは実用性を重視して汗を拭くための大きなタオルをよく使うが、女性の場合は出かけるときに持ち運べるハンドタオルのほうが使用率が高いのではないかという分析の結果だった。

 また、男性向けにハンカチに刺繍を入れてみるのもいいだろうとのことで、ハンドタオルと交互にハンカチにも糸を通していっている。

 家族やカップルなら女性向けと男性向けでセットで売れるかもしれない、というイルファの提案だ。

 イルファもなかなか商売の才能があるかもしれない。


 数日もすると覚えのはやいリオも一人前になってハンドタオルとハンカチを量産していった。

 ライオンや犬、ネコ、オオカミに象という鼻の長い動物、いろんな動物の顔を模した刺繍入りの可愛らしい作品ができあがっていった。


 一方、ラキスのほうははじめ、動物の立体的な木製の置き物をつくろうとしていたみたいだが、時間がかかりすぎる上に難易度も高いため、イルファたちの刺繍を真似して動物の顔だけを彫ったブローチや各動物のシッポをモチーフにしたペンダントなどを作ることにした。

 もともと職人気質のラキスは一作目から完成度の高いものを作り、リアルなものとデフォルメされたものとを作り分けていった。

 女性や子どもにはデフォルメされた可愛らしさのあるものが、リアルで精緻なものは男性向けにウケがいいのではないか、という発想だ。

 ラキスはいったんコツを掴んだら同じ完成度のものを大量に作り上げていった。

 こういうところは普段からグローブさんの工房で剣を量産している経験が活きているのだろう。


 みんなの頑張りを見て、俺もリンゴ栽培をがんばろうと思った。

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