サーカス団がやってくる! 3
「サーカスの出店で出品するもの、ですか?」
家に帰ってさっそくみんなにベクター先生から聞いた儲け話について話した。
サーカスも楽しみだが、せっかく大きなお祭りで稼げるなら何か店を出したいものだ。
俺はまず簡単に考えられるものを挙げた。
「手っ取り早いのは果物を育てて、それを食べやすい形にするか、もしくは飲みものとしてジュースにして売るかかな」
「ジュース! ボク、ジュース好きだよ!」
リオはたまに街中で飲む、屋台の果物ジュースの味を思い出したようだ。
食べものや飲みもの系ならサーカスを見ながら口に入れられるから売れ行きも悪くはないだろう。
一方、ラキスは鍛冶師らしい視点から、
「そうだな、こう何か、記念になる商品とかもいいんじゃないか?」
「記念かぁ……」
「例えばだが、そのサーカス団には動物もたくさんいるのだろう? その動物たちの姿をかたどった簡素な工芸品とかなら記念品として売れやすいんじゃないか?」
「おー、なるほど!」
さすがは職人のラキスだ。視点がちがう。
不定期にしか観ることのできないサーカスを楽しんだ思い出として、サーカスのことを連想させる工芸品はいいアイディアだと思う。
「記念品なら、普段の生活にも使えるものもどうでしょう?」
「生活に使えるっていうと、日用品ってこと?」
「そうですね……。たとえばタオルとか、カップとかですかね」
「おお、たしかにサーカスが終わっても使えるものなら買いやすいね!」
イルファからも素晴らしいアイディアを出してもらえた。
日用品なら記念になる上にその後も日常生活で使うことができる。
買いやすいという面ではタオルやカップは消耗品だから庶民でも手を出しやすいはずだ。
「……うん、いいね! サーカス団が来るまでにそういった商品を作ってみよう!」
「つくるつくるー!」
「面白そうですね」
「たまには剣以外のものを作ってみるのも悪くないな」
俺たちは手分けしてサーカス開催とともに売れる商品づくりを始めた。
俺は庭の一部にリンゴの種を植え、イルファの魔法を真似して促成栽培を試みた。
たっぷりと水をやり、生えてきた芽に陽の光をたくさん吸収させて何本かのリンゴの木を育てた。
果実のジュースといっても種類がたくさんある。
オレンジ、リンゴ、ベリー系、ブドウなどなど、数えあげればキリがない。
その中でも大衆受けしやすいのはやはりリンゴだろうと言うことでリンゴの木を育てることにした。
一本の枝に複数の実がなり、成長の良さそうなもの以外は間引きして、残した実には太陽の光をいっぱい当ててあげる。
水やりに栄養のある肥料を与えるのも忘れない。
赤く、丸々と太った実を採取し、俺は次から次へとリンゴの実を栽培していった。




