サーカス団がやってくる! 2
サーカス団がやってくることは街中でウワサになっていた。
あまり娯楽のないセンタルの街にとっては数少ないお祭りである。
道行く人たちもサーカス団の話で持ち切りだ。
走りまわる子どもたちはリオと同じくらい喜んでいた。
俺はイルファの製作したポーションを治療院に納品しに行った。
「おはよう、ライド君」
「おはようございます、ベクター先生」
俺は約束した量のポーションを先生とその弟子に受け取ってもらい、
「うむ、たしかに納品を確認したよ」
「いつもありがとうございます」
「そういえばライド君はサーカス団の話は聞いているかね?」
「このセンタルの街にやってくるっていう話ですよね?」
「そう、その話だ」
「うちのリオはすでに楽しみみたいで、昨日はワクワクしすぎてあまりよく眠れなかったみたいですよ」
「ははは、リオ君らしいね」
ベクター先生はイスに深く腰掛けて話を続けた。
「サーカス団が来るのもずいぶん久しぶりだからね。領主様が住民全員に一回分の観覧チケットを配ってくれるそうだよ」
「おお、太っ腹ですね!」
「ライド君、そこは領主様もねらいあってのことさ」
先生は口ヒゲをさすりながら、
「サーカス団が来るとなると、街の人たちも楽しい気分になるだろう。そうするとどうなると思うかい?」
「どうなる、とは……?」
「お酒を飲んで気分が良くなったときと同じさ。財布のヒモがゆるくなる」
ベクター先生は柄にもなく、親指と人差し指で円を作ってみせた。
ああ、なるほど……!
「サーカスの大きな会場のまわりには出店がたくさんできるだろう。そしてサーカスを楽しみに遊びに来たお客はお祭り気分だ」
「つまり、普段よりも出店で買いものをしてくれやすくなる!」
「その通りだ」
なるほどなぁ。
領主様も住民を楽しませるだけでなく、商売をする人にも稼げる機会を増やそうとしてくれているわけか。
「ライド君は最近、野菜を育てているそうじゃないか」
「そうですね。そっかぁ、サーカスのときに出店を出せるなら今は野菜以外の何か売れるものを作ったほうがいいんですね」
「そういうことだ」
俺はベクター先生に感謝すると「いつも世話になっているお礼だよ」と言ってくれた。
これはいい話を聞いた。
さっそくみんなにも話してどんなものが売れるか考えてみよう。




