サーカス団がやってくる!
「ライド、ライド!」
「ん、どうしたー?」
休日と決めて家で休んでいた俺のもとへ、リオが満面の笑顔でやってきた。
「この街にサーカス団がやってくるんだって!」
「おー、移動型のサーカス団か」
「ヒトや動物がいろんなことをするんだって!」
「そっか、リオはサーカスは初めてだもんな」
「うん! いまからすっごく楽しみ!」
リオの手にはチラシが握られており、中央に大きくライオンの顔が描かれていた。
内容を読むとどうやら一週間後くらいにこのセンタルの街へやってくるらしい。
俺も過去に一度だけ見たことがある。
動物が芸をしたり、団員の人たちが曲芸を披露したり、キラキラしていて胸が躍る楽しいものだった。
サーカスの一団が到着したらリオを連れていってあげるのもいいなぁ。
庭の野菜の状態を見てくれていたイルファがもどってきた。
「あら、リオは何かいいことがあったんですか?」
「イルファ! サーカス団がやってくるんだって!」
「まあ! それはとても楽しみですね」
「すっごく楽しみー!」
イルファに頭をなでられてリオのシッポは元気にブンブンふられていた。
「イルファはサーカスって見たことあるの?」
「知り合いから話を聞いたことがあるくらいですね。人や動物がいろんな曲芸をしてくれるんですよね?」
「そうそう。イルファも見たことないならせっかくだし、みんなで観に行こうか」
「わーい!」
「ラキスは見たことあるんでしょうか?」
「どうだろうねぇ。あまりそういう娯楽を楽しむタイプに見えないけど、誘ったら来てくれるんじゃないかな」
「みんなでサーカスサーカス!」
ウキウキなリオはリビングをぐるぐる走りまわって全身で喜びを表現した。
夕方になって武具工房グローブから帰ってきたラキスにサーカス団の話をしたところ、ラキスも見たことはないらしく、みんなで観に行くことに賛成してくれた。
「でもちょっと意外だな。ラキスってこういうイベントとかあまり興味がないのかなって思ってたからさ」
「それは心外だぞ。私だって知らないものは気になるし、それに何よりみんなで観に行くという経験はきっと楽しい思い出になるだろう?」
「それはたしかにそうだ!」
ラキスは少しだけ頬をふくらませて抗議した。
一緒に生活していると仲間のこうした意外な一面も見えてきて楽しいもんだ。
イルファが夕食の準備ができたようなので俺は料理の載った皿を運ぶのを手伝った。
リオが狩ってくれたクマのステーキ、俺が育てた野菜のサラダ、それに最近そだてはじめたトウモロコシを使ったポタージュ。
料理からは湯気があがり、おいしそうなニオイが食欲を刺激した。
俺たちはフォークやスプーンを手に、夕食を食べ始めた。




