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魔女と別れて

 スマルテスに森の出口まで転移魔法で送ってもらった。

 俺たちは子どもを抱き、深き森の魔女に別れの挨拶をした。


「そういえばエルフの子よ。何かの縁だ、その目やスキルを治してあげようか?」

「治せる、のですか……?」

「簡単なものさ。他の子たちもスキルに乱れがあるね、ヒトの子の君以外は」


 スキルの欠陥を見抜かれたことに俺たちは驚かされた。

 だがそれ以上に驚いたのは俺のテイムスキルには欠陥がない、という事実だ。

 つまり元々このスキルはこういうものとして授けられたということか。

 仲間たちはうーん、とうなって悩んでいたが、


「……ありがたいお言葉ですが、わたしは今のままで大丈夫です。この目も、スキルも、つらい思い出はありますが、今のわたしはとても恵まれていて十分に幸せだと感じていますので」

「うん、ボクも!」

「気遣いを無下にしてすまないが、私も同様に今のままで結構だ」

「ふむ、そうかい。それだけ良い友を持った、ということだね」


 スマルテスに視線を向けられ、俺は照れ隠しに頬を指でポリポリとかいた。


「この森に張っていた結界は入ってこれないものに変えておくから安心しておくれ。短い時間だったけど話せて楽しかったよ。気が向いたらまた遊びにおいで」

「こちらこそ貴重なお話をたくさんお聞かせくださり、ありがとうございました」

「俺たちも子どもたちも返してくれて助かったよ。ありがとう、スマルテス」


 手を振るスマルテスを背に、俺たちは光射す森の出口へ歩いていった。

 光の中に消えていく俺たちに、スマルテスのつぶやきは届かなかった。


「……王になりうるスキル、か。あの子に与えたということは、神々も争いを望んではいないということかねぇ」




 森から出ると待機していたコボルトたちに多数の冒険者が出迎えてくれた。


「おお、もどってきた! みんな、もどってきたぞー!」

「子どもたちも無事だ!」

「誰かギルドに知らせてこい!」


 俺たちは子どもたちを起こさないように預け、人々とともに街へ帰還した。


 街へもどるとベクター先生をはじめ、見覚えのある街人や冒険者たちが褒めたたえてくれた。

 その中にはあのサイモンたちもいて、


「ライド、お前よく戻ってこれたな! やるじゃねえか!」

「あはは、仲間たちのおかげだよ。それに森の奥に住んでいた魔女様のおかげだ」

「魔女だと!? 悪いやつか?」

「いいやぜんぜん良い人だったよ。子どもたちが無事だったのも、俺たちが戻ってこれたのも魔女様のおかげさ」


 俺たちは冒険者ギルドまで連れていかれ、ギルドマスターと子どもの親たちに簡単な経緯を話した。

 親御さんたちには何遍も頭を下げて感謝され、ギルドマスターからは特別な報奨金を出してくれると言われた。

 サイモンはじめ冒険者たちは迷いの森での出来事に興味津々だった。

 俺たちは酒や料理をおごられる代わりにスマルテスの具体的な身の上話は除き、森で起こったことについて話して聞かせた。

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