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ミンドスファミリーのやり口

 ザンガの心からの言葉に納得したシスターは約束を取り交わした。

 教会の所有権を渡す代わりに、今までどおりの生活を守ってくれるように。

 そのとき、外から子どもの悲鳴が聞こえた。


「なんだ!?」とミラル。

「お前たち、あたしに続きな!」


 言うが早いか、ザンガは手下を連れて外へ飛び出していった。


「俺たちも急ごう! ミラルさんはシスターたちを守ってください!」


 俺もリオたちを連れて外へ駆け出した。

 目に入ってきたのは子どもを抱きあげてナイフを突きつけているガラの悪い男とその仲間たち。

 人質を取られてザンガは動けずにいる。

 遅れてやってきたシスターたちが悲鳴をあげた。


「てめえら、ミンドスの連中だな……!」


 ザンガが低い声でうなった。

 子どもにナイフを突きつけている男が、


「てめえはザンガだな。俺たちを知ってるなら話がはやいぜ。さっさと教会の所有権を寄こしな」

「ふざけんじゃねえ! ガキを人質に取りやがって!」


 激昂するザンガを俺が手で制する。

 熱くなってはやつらの思うツボだ。

 ザンガたちがミンドスファミリーと衝突しては全面戦争の引き金になりかねない。

 こういう場面では俺たちやミラルといった第三者が動いたほうが得策だろう。

 俺はイルファに小声で耳打ちをした。


「お前たちはミンドスファミリーだな。なんでこんな真似をするんだ」

「なんでもクソもあるかよ。ザンガファミリーに関係する場所は奪うってだけのことだぜ」

「そんなことをしてミンドスファミリーの株は上がるのか?」

「んなこと知ったこっちゃねえ。この貧民区域をザンガファミリーから奪い取れば俺たちの商売の儲けが増えるってだけの話だぜ。ヒャッハッハッハ!」


 俺は内心でホッとした。

 ミンドスファミリーがもっとあくどい手段で攻めてきたら厄介だった。

 だが、話を聞くかぎり、こいつらは目先のことしか考えていない。

 そしてその親分であろうミンドス商会のボスも深く物事を考えて動いているわけではなさそうだ。

 これなら話ははやい。

 俺はイルファのほうに向きなおり、イルファの両手のひらのあいだに向かって大声でさけんだ。

 その声はイルファの魔法に吸い込まれ、一拍おいてから教会の敷地の外から聞こえた。


「まずい、王都の衛兵だー! 逃げろーッ!」


 突然、背後から聞こえてきたさけび声にミンドスの連中は慌てふためき、


「ちっ、間が悪いぜ! 次はこんなんじゃすまねえからな! おぼえとけよ!」


 抱き上げていた子どもを解放し、男たちは走って逃げていった。

 外から響いた声にザンガも慌てて、


「悪い! あたしらも逃げる! 細かいことは──」

「まあ待て、ザンガ。衛兵なんて来てないよ」

「……は?」


 ザンガはきょとんとした顔であっけにとられた。

 俺の代わりにイルファが説明した。


「今のはウインドエコーの魔法で、ライドさんの大声を外から聞こえるようにしたんです」

「ま、そういうわけだ。衛兵なんて来てないから安心しろって」


 からくりを理解したザンガは大きなため息をついた後、面白くなさそうな顔で言った。


「てめえってやつは、本当に食えねえヤローだぜ」

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