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ザンガとの交渉 2

 俺の言葉に怒りをあらわにしたザンガは前のめりになった。


「よく聞こえなかったな。もう一度言ってみろ」

「あなたたちが勘違いをしている、と言ったんです」


 ザンガは素早い動きで腰からナイフを取り出し、俺の顔につきつけた。


「兄ちゃん、ケンカ売りに来たんならもうちっと売る相手を考えな」


 俺はそれまでののほほんとした雰囲気を収め、真顔でザンガのナイフを二本の指でつまんだ。

 ラキスの身体能力を共有している俺の力はふつうの人間ごときが破れるものではない。

 指先からザンガがナイフに力を込めているのが伝わってくる。

 だが、俺の指は微動だにしなかった。


「ザンガ、俺たちは話し合いをしに来たんだ。あんたたちの一方的なやり方を改めるよう、丁寧に説得しようってね」


 ナイフをつまんでいた指を放した。

 ザンガは面白くなさそうにナイフをしまい、腕と脚を組んで俺をにらみつけた。


「てめえ、何者だ」

「ただの元冒険者だよ。名前はライド。本来なら部外者なんだが、今は教会の代理人として話しているだけだ」


 ザンガはいぶかしむように俺を見るだけで無言だった。

 話を続けろ、という意思表示でいいのだろう。


「俺たちはたまたま教会に用があって現場に居合わせただけだ。そこにやってきたあんたの部下のやり方がヘタクソだったからおせっかいにも挨拶しに来たのさ。あんたらファミリーに盾つくつもりはないから襲い掛かったりしないでくれよ」


 俺の言葉にザンガは鼻を鳴らした。


「確認だが、あんたたちは教会がミンドスファミリーに奪われるのを防ぐために自分たちの支配下に置いておきたい、それでいいんだよな?」

「それ以外にどんな理由があるってんだよ。あんな教会に特別な価値はねえ。貧乏なシスターと行き場のねえガキどもが暮らしてるだけの場所だ」

「やっぱりな。ザンガ、あんた物騒な雰囲気はしてるが、意外と人情派な優しいやつじゃないか」

「ばっ……! てめえぶっ殺されてえのか!?」


 顔を真っ赤にして再度ナイフをつきつけてきた。

 さっきと同じように指ではさんでナイフを止める。おーこわいこわい。


「すまんすまん、言い方が悪かった。あんたはこの街を取り仕切るボスとして、この街の住人を守りたいだけだろう? 立派なボスじゃないか」

「あ、あたりめえだ!」


 ナイフを放してやると鞘にもどして腕を組みなおした。

 俺から視線をはずし、ふてくされた子どもみたいに頬をふくらませた。

 ファミリーのボスの割に可愛いところもあるじゃないか。

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