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教会の立場 2

「よおシスター……と、お客人かな?」


 応接室の扉に腕をついて細見のガラの悪い男が現れた。

 男は無遠慮に応接室に入ってきて、後ろから図体のでかい男も入ってきた。


「元気にしてるかい? 例の話だが、そのお客さんたちはちょっと邪魔だな」

「い、いまはこちらの方々と話していたのです」

「ならそのお客さん方にはお帰りいただこうか」


 ずいぶんと横暴なことを言う男だ。

 痩せた体からヘビのような印象を思わせる。

 逆にもう一人の体格のいい大男はいっさい言葉を発さず、切り傷の入った強面で威圧しているような錯覚をおぼえる。


「シスター、私たちのことはいいので先にそちらの話をしてください」

「おうおう、物わかりのいいお客さんだ。ちと邪魔するぜ」


 細見の男は空いていたソファにドサッと座り込み、大きな身振りで足を組んだ。


「そろそろ考えは変わったかい?」

「何度言われても、この教会をゆずるつもりはありません……!」

「頭が固いねシスター。そう言われないか?」


 男は偉そうにテーブルに靴のかかとを乗っけて話をつづけた。


「何もあんたらやちびっこたちを追い出そうって言うんじゃないんだ。今までどおりの生活をしてくれていい。ただ、土地と建物の所有権をゆずってくれと言っているだけなんだがね」

「一方的にそんなこと言われても……」

「だから説明したじゃねえかよ。ミンドス商会の息のかかった連中に脅されて所有権を奪われる前に俺らにゆずってくれってよ。俺らは親切心から言ってやってるんだぜ? ミンドスの連中はここの流儀を知らないよそ者だ。あんなやつらに俺たちの街を好き勝手にされてたまるかい。シスターだってそう思うだろ?」

「それは、そうですけど……」


 ミンドス商会の息のかかった連中?

 これってミラルが教会に来る道中で話してくれた二つの組織に関係している話か?

 俺がミラルに視線を送ると、ミラルはこくっと小さくうなずいた。


「ミンドスファミリーは俺たちの街を乗っ取ろうとしてやがる。金にきたねえ連中のことだ。この教会の所有権を手に入れたらあんたらもちびたちも追い出されて路頭に迷うにきまってる。これは姐御の慈悲でもあるんだぜ?」


 ずいぶんと荒っぽい慈悲もあったもんだ。

 リオはすでに男をにらみつけている。

 本能的にこいつらが悪いやつだとわかるのだろう。

 俺はリオの手を抑えて暴発しないよう注意した。

 ミラルが何か言葉をはさまない内はそれこそ部外者の俺たちが口をはさむことではない。


「俺らとしてもこの街で慈善活動してるあんたらを尊敬してるんだぜ? そんな俺らよりあくどい連中にこの教会がめちゃくちゃにされたら俺らだけじゃない、街の連中だって黙ってないだろうさ。そうなりゃ全面戦争だよ」


 男は立ち上がって、


「シスター、これは時間の問題だ。あんたらが賢明な判断をしなきゃ遅かれ早かれこの街はもっと危険な街になる。次くる時までに覚悟を決めておくんだな」


 いくぞ、と大男を連れて去っていった。

 中年のシスターは大きなため息をついた。

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