慈悲深きお姫様 2
屋敷の庭園は庭師によって手入れされているのだろう、しっかり管理されていて植栽も美しいものだった。
庭園を進んでいくと屋根付きのガーデンテラスがあった。
「みなさん、こちらです」
ミラルに連れられてテラスに着くと、そこにはメイド付きの可憐な少女が紅茶をたしなんでいた。
キレイな金髪に透き通るような肌。
細い指でカップをつまみ、琥珀色の紅茶を音も立てず口にふくむ。
優雅というのはこういう所作を言うのだろう。
「シェリー様、お待たせしました」
「あら、ミラル。おはやいおつきね」
美しいドレスに身を包んだ少女はイスから立ち上がり、優しげな目つきで俺たちを出迎えた。
「みなさまもよくいらっしゃいました。歓迎いたしますわ」
「あの、ミラルさん、この方は……?」
「あらあら、わたくしったら、まずは自己紹介をすべきでしたね」
少女はドレスをちょこっとつまんで、淑女らしいお辞儀をした。
「わたくしはシェリー・マルティアナ・シール=ド=ハイムと申します」
「……!?」
シールドハイムと言ったらこの国の王様の姓じゃないか!
つまり、この少女は王族につらなる方。
俺たちはとっさにひざまずこうとしたが、
「堅苦しい挨拶はよしてくださいな。ここはわたくしの屋敷であって、宮殿ではありませんのよ」
少女は手で口を覆って、ころころと笑った。
「みなさん、シェリー様はこの国の第二王女であらせられます。寛大な姫様の御心に従い、どうか落ち着いてお顔合わせ願います」
いやいや、落ち着けと言われても!!
庶民にすぎない俺も仲間たちもさすがにお姫様を前にして普段どおりにしてはいられないって!
俺たちの動揺が伝わったようで、可憐なお姫様はやさしく微笑んだ。
「いつもどおりのみなさまでよろしいのです。窮屈なのは宮殿内だけでおなかいっぱいですわ」
そう言われてしまっては逆らうのも失礼か。
俺たちは腹をくくって立ったまま自己紹介をした。
お姫様は興味深そうに俺たちの言葉を聞いていた。
「お話は聞いておりますわ。それでミラルが喉から手が出るほどほしいという魔剣は……?」
「あ、お見せしますね」
マジックバッグから取り出してミラルに渡す。
ミラルはしっかりと柄をにぎり、剣先を下にむけてお姫様に見せてあげた。
「まあ! 重厚にして美しい剣ですわね」
「そうでしょう! このスペシャル美しい私にこそふさわしい至高の剣なのです!」
魔剣を構えていろんなポーズを取り、心から楽しそうに言ってのけた。
お姫様の前でもこんな調子なのか、この人は。
ある意味すごいというか、なんというか。
俺はミラルから魔剣を返してもらい、お姫様に声をかけた。
「それでえっと、今日は俺たちに何の用なのでしょう?」
「そうですね。まずはこちらへお掛けください。みなさまにお茶を」
お付きのメイドに言うと「かしこまりました」とポッドのお茶をカップに注いでいく。
俺たちはおそるおそるテラスに腰かけた。




