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模擬戦

 騎士団の訓練場ではたくさんの騎士が鍛錬にはげんでいた。

 ミラルたちが現れると一様に手を止め、騎士団式の礼をした。


「悪いがすこし場を借りる。客人の前で模擬戦を披露するつもりだ」


 そう言うと近くにある適当な模擬剣を手に取って訓練場の中央に移動した。

 続いてレインも適当な剣を取り、ミラルと対峙する形で足を止めた。

 周囲からは「副団長と団長補佐の模擬戦だ!」だのと歓喜の声があがっている。

 どうやら一般団員たちにとって二人は見上げる存在であるようだ。

 二人は剣を構え、


「レイン、いつでも来るがいい」

「…………」

「来ないなら私からいく!」


 脚に力を入れたと思った瞬間には間合いを詰め、レインに豪快な横なぎの一撃を放っていた。


「速い……!」


 レインはそれを難なく剣で受け止め、返しの剣撃を放った。

 ミラルも見切っていたように素早く身をひるがえし、間合いから離れた。

 回避の脚が地面についたと同時にふたたび鋭い突きの一点攻撃。

 剣の腹でギリギリ受け流したレインはミラルの勢いを利用する形でひざ蹴りを見舞い、ミラルはそれを読んでくるりと体を回転させて回避。

 レインの背後を取ったミラルの攻撃を剣で受け、つばぜり合う。


「どうしたレイン! 剣の勢いも寡黙すぎるぞ!」

「……っ!」


 ミラルがグッと力を入れてレインの剣を上にはじく。

 がら空きの胴体にまわし蹴りを打ち込み、レインは吹き飛ばされつつも受け身を取った。


「一本、というところだな」

「……っくそ」


 緊迫した一瞬の攻防が終わり、まわりの騎士たちから歓声があがった。

 すごい……二人ともかなりの実力者だ。

 第一印象とはまるで別人だ。

 レインは防御寄りの固い戦術であったにもかかわらず、それを打ち崩していくミラルの猛攻はベテランのそれだ。

 身のこなしが流れるようにつながっており、常に最善手で相手を追い詰めていった。


「次はあたしの番かにゃ~」


 剣をさげたタルトがレインにしっしっと手で追い払うように退場させ、体勢を低く構え、ミラルに対峙した。

 ミラルは笑みをひっこめ、タルトに向き合い、剣先を下げ、軽く構えた。

 一拍。

 目で追えないほどの速さでタルトが斬り込んだ。

 剣で受けるもタルトの苛烈な攻めはミラルに攻撃の隙を与えない。

 速い、速すぎる……!

 だがそれをすべて剣でさばいているミラルも恐ろしい技量だ。

 重みのないタルトの連撃を受け続け、一歩も下がらない。

 それどころか少しずつ反応速度があがっている。

 次に打ち込まれる場所を予測して、まるで誘導しているかのようにタルトの攻撃を先読みし、最低限の力で攻撃をさばく。

 徐々にミラルが力を込めて剣で押し返し、タルトの攻撃後の隙が大きくなった瞬間に渾身の一撃を放つ。

 二人の動きが止まった。

 ミラルの剣がタルトの首の数センチ横で寸止めされていた。


 周囲の騎士たちがわきあがった。

 これが王国騎士団トップクラスの実力。

 ミラルが騎士団副団長であることは紛れもない事実だと目の前の光景が証明していた。

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