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王国騎士団

 王都のにぎわいにあてられたせいか、すこし元気が出てきた気がする。

 俺たちの馬車は王都でも王城に近い、王国騎士団の施設の前で止まった。


「さあ着きましたよ! みなさん、降りましょう!」


 ミラルが元気よく馬車から飛び降りた。

 俺たちも降りると立派な門構えの建物があった。

 建物を囲っている壁が長く続いているのを見るに、相当おおきな施設のようだ。


「騎士団副団長、ミラル・バーケンダイツ、帰還した!」

「ハッ! お疲れ様です!」


 両端の門番が敬礼をしてミラルに答えた。

 これはいよいよウソの可能性が低くなってきた。


「今日は客人をお連れした。失礼のないよう応接室までの案内を頼む」

「ハッ!」


 門番たちは中の詰め所に声をかけ、大きな格子状の門扉が開いていく。


「みなさん、私は着替えてきますので応接室でお待ちください」

「あ、はい……」


 それだけ言うとミラルは颯爽と去っていった。

 残された俺たちは詰め所の職員にうながされ、応接室まで案内された。




「わぁ~、すごい高そうなツボ!」

「リオ、絶対にさわってはいけませんよ! 割ってしまったら大変です!」


 応接室は客人をもてなす部屋として言葉どおり豪奢な部屋だった。

 貴族のお屋敷みたいに絵画こそないが、壁に掛けられた飾り剣、掲げられた王国の国旗、座れば体が沈むほどやわらかい、ふかふかのソファ。

 王都の城下町も別世界だったがここもまた庶民の俺には縁遠い場所だった。


「なんか、すごい場違いな感じがするのは俺だけ?」

「安心しろ。うろたえるほどではないが私も十分、場違いだ」

「ニオイがぜんぜんちがうよ~。あっちもこっちもいいニオイがする~」

「敷かれている絨毯もとても質のいい品ですね。なんだかソワソワします」


 よかった、場違いに感じているのは俺だけじゃなかった。

 落ち着かない心地で待つこと、十数分。

 奥の扉が開いて騎士団員の略装に着替えたミラルさんが現れた。

 彼女に続いておなじ略装を着こなしている長身の男と猫の亜人の少女が入ってきた。


「みなさん、お待たせしました」


 不思議なことに騎士団員用の服装に着替えたミラルはしっかり騎士に見えてきた。

 ここまできたら本当に騎士団の副団長なのだろうが、今までの言動との落差がすごすぎて認識が追いつかない。

 俺たちは立ち上がって三人を出迎えた。


「はじめに、申し訳ないのですが団長が不在でした。代わりと言ってはなんですが、団長補佐の二人を連れてきました」

「お初にお目にかかる。私の名はレイン・コールドット。団長補佐をしている」


 長身の男が鋭い目つきで簡潔に自己紹介した。

 続いて猫の亜人の少女が一歩前に。


「あたしはタルト! 団長の補佐をしているワーキャットだよ! よろしくにゃ!」


「にゃ!」と同時に両手でコブシをつくっておどけてみせた。

 これはまたクセの強いのが現れた。

 目つきが鋭いせいで人相は悪いが、長身の男がこの中で一番まともな人物かもしれない。

 服装が変わってミラルを見直したばかりなのに、この騎士団はいろいろと大丈夫なのだろうか。

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