雪見草を求めて 2
何回目のサーチの魔法か、ついに目的物の反応があった。
「リオ! 前方、すこし右の方向に雪見草がある!」
「わかった! しっかりついてきて!」
すさまじい風圧の中、俺たちは完全に密着して腕を組み、吹雪に飛ばされないよう耐えていた。
次の瞬間、それまでより強烈な勢いの突風が吹き荒れた。
「わあっ!!?」
「リオ!!」
体重の軽いリオが飛ばされかけたのを腕をつかんでなんとか繋ぎ止めた。
だが、このままじゃリオが飛ばされてしまう。
じわじわとリオをつかむ手が滑り抜けていく。
二の腕からひじに、そして前腕に。
このままだとダメだ!
「リオ! 俺の腕に爪を立てろ!」
「それじゃライドが……!」
「いいから早く! 爪を立てるんだ!」
すぐに前腕に強烈な痛みが走った。
ぎっちりと爪が食い込んだのを確認し、
「身体硬化!」
俺はラキスの身体硬化のスキルを使用した。
痛みはあるが食い込んだリオの鉤爪がそれ以上、俺の肉体を切り裂いていくことはなかった。
ラキスのスキルのおかげで物質として硬くなった俺の前腕は、食い込んだリオの爪ごとガッチリとホールドした。
そのまま、リオの腕をゆっくりと引き寄せ、二の腕をつかみ、体を抱き寄せた。
「はぁ、はぁ……」
「ライド! 大丈夫!?」
「大丈夫だ! ラキスのスキルで傷口も広がっていない! 雪見草のところへ移動しよう!」
体重の軽いリオをなかば羽交い絞めしながら猛吹雪の中を一歩ずつ進み、俺たちは雪見草の群生地へとたどり着いた。
雪見草の群生地はちょうど盆地になっており、大量の雪見草が吹雪の中でも穏やかに、たくましく生えていた。
「ふぅ……。ひとまず休めるな」
「ライド、さっきはありがとう! もうダメかと思ったよ」
「いや、俺のほうこそリオがいなければこんな吹雪の中、くじけずにここまで来れた自信はないよ。リオがいてくれて本当に助かった。ありがとうな」
いつもやってあげるように頭をなでてあげると、リオはシッポをぶんぶん振って嬉しそうに笑みを浮かべた。
「さて、問題の雪見草の採取だが……」
「イルファが言ってたね。ここの土ごと持ち帰ってくれたら栽培できるかもって」
「だな」
イルファいわく、自生している場所と似た環境さえ用意できれば雪見草を栽培できるかもしれない、とのことだ。
こんな万年、吹雪の吹き荒れる中を採取に来るのはとてつもなく大変だ。
木々や草花に詳しいエルフ族のイルファが管理することで雪見草を栽培できるようになれば、きっと今回だけでなく今後のパスード病の流行にも対応できるだけの薬を作ることが可能になる。
うまくいけばセンタルの街だけじゃない、他の街の人たちだって助けることができる。
パスード病を脅威の病気から薬を飲めば簡単に治せる病気にできれば、きっと多くの人々が喜んでくれるはずだ。
「よし。雪見草の根っこをちぎらないように、周囲の土ごと掘り起こして布でくるんでいこう」
「うん!」
俺はマジックバッグから用意していた布を取り出し、リオにも渡した。
雪見草の外側からまわりこむように土をかき分け、地面を掘っていく。
根を傷つけないように気を付けて、ゆっくり慎重に。
半球の形に下までしっかり掘れたら、土ごと雪見草を布の上に乗せ、土が落ちないようにくるんで布を縛っていく。
縛り終えた雪見草はマジックバッグへ。
俺とリオは雪見草を一つずつ土ごとゆっくり採取し、ついでに周囲の土も余分に掘り起こして布にくるみ、バッグに収納した。




