魔剣を作ってみよう! 6
センタルの街にもどり、俺たちは疲れを癒してから工房付きの武器屋へ向かった。
武器工房グローブ。
腕のいいドワーフの鍛冶師が開いた、街でも有名な武器屋だった。
「こんにちは〜」
「お、いらっしゃい。武器かね、防具かね?」
豊かなヒゲをたくわえた背の低いドワーフのおじさんが出迎えてくれた。
さすが有名な武器屋だけあって品揃えがいい。
パッと見ただけでも切れ味の良さそうな剣から斧、槍まであるし、頑丈さを重視した重そうな鎧から軽さと防御力をバランスよく調整したアーマーまで売っている。
「じつは工房をお借りしたいのですが……」
「なに、工房を? 兄ちゃん、鍛冶師なのかい?」
「あ、いえ、俺ではなくて──」
「私が武具を作ろうと思っている」
堂々と名乗り出たラキスに店主のグローブは驚いた顔をした。
「嬢ちゃんが鍛冶を?」
「ああ、私はこう見えてドワーフの養父に鍛冶を教わったんだ。生半可なものを作るつもりはない」
「ドワーフの鍛冶師か。そいつは何ていう名前だ」
「鍛冶師ラングだ」
「なんと……!」
先ほどよりも驚いてグローブは「ラング、そうかラングか……」と懐かしそうにラングの名前を繰り返した。
もしかしてラキスのお父さんは有名な鍛冶師なのか?
「これも何かの縁かの。奴とは顔見知りだ。ラングとワシは修行時代のライバルであり、良き友であったんだ」
「父に友がいた、だと……?」
「ハハハ、驚くのも無理はなかろう。あやつ、頑固なドワーフ族の中でもひと際クセが強くての。四六時中、鍛冶のことで頭がいっぱいで、ろくに人付き合いもせんかったからな」
「そうだったのか……」
グローブの思い出話にラキスもどこか懐かしむ表情をした。
きっと育ての親であるラングのことを思い出しているのだろう。
普段はまじめで厳しい顔つきの多いラキスだが、ケンカ別れした親の話になると眉尻を下げ、やわらかい顔になった。
「ま、昔話はさておき、あやつの育てた娘というなら実力は疑うまい。嬢ちゃん、名前は?」
「ラキスだ」
「うむ、ついてくるがよい」
グローブはラングの娘ということで特別に工房を使うことを許可してくれた。
俺たちは店の奥へ続く通路を通って工房へ移動した。
「どこの馬の骨とも分からぬ輩には貸したりせんのだがな、奴の娘なら工具も大事に使ってくれるだろ」
「もちろんだ。丁寧に使わせてもらう」
「して、何を作る? 素材は銅か、鋼か?」
「素材はこれです」
俺がマジックバッグからミスリルの塊を取り出すとグローブは口を大きく開けて感心した。
「おー、ミスリルか! すると魔法の武具を作るつもりだな?」
「そのつもりだ」
「魔法は僭越ながらわたし、イルファが込めさせていただきます」
「ふむふむ、ドワーフ譲りの鍛冶の技巧にエルフの魔法を組み合わせるか。これは仕上がりが楽しみだわい」
グローブは機嫌よく笑って「練習で試作もするのだろ?目当ての武具が完成するまで工房は好きに使ってくれ」と気前よく言って店番にもどっていった。
「さて、まずは普通の鉄鉱石で鈍った鍛冶の勘を取り戻さねばな」
ラキスはやる気に満ちた顔で工具を手にした。




