魔剣を作ってみよう! 5
「こ、これは……!?」
採掘したミスリルの塊を見たゴウスは言葉を失った。
もはや採掘できないと思われていたミスリルが目の前にあるのだからこの反応も無理はない。
結果的に最初に見つけたミスリルの塊と同程度の大きさのものが追加で四つも採掘できた。
「まさか、まだミスリルが埋まっていたなんてな……」
「魔力の探知のおかげで見つけることができたんです」
「なるほど、そんな方法があったのか」
「発見自体は偶然ですが、まだこの鉱山にはミスリルが眠っているのかもしれません」
そして、俺たちは採掘後にみんなで話し合ったことをゴウスに告げることにした。
ラキスはしょんぼりしていたが、こればっかりは筋を通したほうがいいだろう。
「採掘できたミスリルについてはゴウスさんに預かってもらいたいのですが……」
「なんと!? お前さんたちはミスリルが欲しくないのか?」
「もちろん欲しいです。でも、ゴウスさんや他の鉱夫の方々が精一杯、採掘して、もうミスリルは取れないだろうと判断したから採掘の権利をくれたんですよね? それなら偶然、取れたミスリルをもらうのはさすがに気が引けるというか……」
そこまで言うとゴウスは「うーん……」とうなって黙り込んでしまった。
ラキスはもちろん、俺たちだってミスリルはほしい。
でも採掘の権利はミスリルが取れないことを前提に与えてくれたもののはずだ。
それがたまたま発見できたからすべていただく、というのはちょっと虫が良すぎるのではないだろうか。
「ひと晩まってくれないか。他の者たちと話し合って決めたい」
「お任せします。俺たちは宿屋にいるので、話し合いが終わったら呼んでください」
ラキスの気持ちもわかるが、こればかりは鉱山の責任者のゴウスに判断を任せたほうがいい。
完全にしょぼくれたラキスの肩を軽くたたいて俺たちは宿へもどった。
翌日の朝。
ゴウスからお呼びがかかって俺たちはゴウスの家の前へ移動した。
そこにはゴウス含む町の鉱夫たち全員がミスリルの塊の数々を中心に集まっていた。
みんな神妙な面持ちでどこか緊迫した空気に満ちていた。
これはいったいどういう結論に至ったんだ?
「よく来てくれた。ワシら全員でひと晩、話し合った結果だが……」
となりでラキスがごくりとツバを飲み込む音が聞こえた。
「今回、採掘したミスリルはすべてお前さんたちに譲ろうと思う」
ゴウスの意外な言葉にラキスは思わずコブシをグッと握った。
「本当にいいんですか?」
「ああ、もちろんだ。たしかにワシらはもうミスリルが取れないと思っていた。だがミスリルは枯れてなかった。今回はその希望をもらえただけで十分なんじゃないか、とワシらは考えたのだ」
たしかに酒場で会話した男たちはかつて活気のあった町の様子を懐かしそうに語っていた。
そのころの町に戻れるかもしれないという希望、それが得られただけで十分だという判断みたいだ。
「さあ、持っていってくれ。これらのミスリルはお前さんたちのもんだ」
「ありがとうございます!」
「やったー!!」
我慢していた喜びがあふれてしまったラキスは飛び上がって喜んだ。
リオもイルファも「よかったね~ラキス」「よかったですね」とお祝いしてあげた。
喜びのおさまらないラキスは、ミスリルの塊を慎重にリオが持つマジックバッグにしまっていった。
「また依頼することがあったらよろしく頼むぞ!」
「はい! ありがとうございます!」
これで俺たちは武器や防具を作れる。
しかも素材が魔力を吸収するミスリルだから魔法効果の付与された武具だ。
ラキスほどではないが、俺もどんな武器を作ることができるのかワクワクしてきた。




