魔剣を作ってみよう! 2
翌日の早朝、俺たちは責任者であるゴウスに鉱山の入り口まで案内してもらった。
「この辺にロックバードが出るんですね?」
「お、なんだ、もう詳しい話を知っているのかい」
「いえ、昨日、酒場で知り合った方からロックバードが出ると……」
「ああ、なるほどな。ロックバードはだいたい二、三匹で現れる。お前さんたちにはそいつを退治してもらうってことだな」
「いつもおなじ個体か分かりませんから、今日、退治できても数日は様子を見たほうが良さそうですね」
「そうしてくれると助かるぜ」
頼んだぜ!と言ってゴウスは去っていった。
さて、ロックバードが現れる前に作戦会議といこうか。
「みんな体調は大丈夫?」
「元気だよ!」
「大丈夫です」
「いつでも戦えるぞ」
体調は万全、あとは戦い方だ。
「ロックバードは石や岩を食べるが、見た目や体質はふつうの鳥型モンスターと一緒だ。だから、倒すときはまず飛んでいるロックバードを地面に落とす必要がある」
「それはわたしの役目ですね」
理解のはやいイルファがすぐに答えてくれた。
「そうだね。イルファに落としてもらったロックバードをリオが俊足を活かして攻撃して倒す。基本はこれだ」
「了解!」
「私は何をすればいいんだ?」
ロングソードにアイアンシールドを構えたラキスがたずねた。
「ラキスはリオの護衛だ。おなじく俺はイルファの護衛にまわる。今回の討伐はイルファとリオの役割が大事だから俺とラキスは二人が攻撃されないように注意しないといけない」
「リオの護衛だな。任された!」
闘志に燃えるラキスは剣と盾を打ち鳴らした。
あとはロックバードが現れるのを待つだけだ。
俺たちは鉱山の入り口近くのやぶの中で標的が現れるのを待った。
待機しはじめて小一時間が経ったころ。
「来た! みんな作戦どおりいくぞ!」
現れたロックバードは二匹。
俺とラキスが囮として前へ出てロックバードたちの注意を引く。
敵と認識したロックバードが俺に襲い掛かろうとしたところへ、
「ウインドカッター!」
イルファの声が響き、風の刃がロックバードの片翼を切り裂いた。
「ぎぃぃいいい!」
悲鳴をあげて落ちてきたロックバード目がけてリオが駆けだした。
もがくロックバードの喉もとを両手の爪で引き裂き、ロックバードは断末魔の声をあげて動かなくなった。
「ラキス!」
「わかっている!」
隙だらけのリオに向かって襲い掛かってきた残りのロックバードのかぎ爪をラキスがシールドで受け止める。
反動ではじかれたロックバードが体勢を崩したところをねらって、
「ウインドカッター!」
イルファの風魔法が直撃した。
胴体に大きなキズを負ったロックバードは痛みにあえいで地面に墜落した。
すかさずリオが駆け寄り、ジャンプ前回転からのかかと落としで首を攻撃。
もがくロックバードにはラキスがとどめを刺した。
「よし! みんなナイスコンビネーションだ!」
リオとラキスがハイタッチし、俺とイルファは目を合わせてうなずき合った。
作戦がうまくいって良かった。
ロックバードはさほど知性が高いモンスターではない。
こちらの連携がうまく嚙み合えばそこまで怖い敵じゃない。
「この調子でロックバードを討伐していこう!」
その後、夕方まで見張り続けてロックバード二匹連れを二回退治してその日は終わった。
次の日は合計五匹、さらに次の日は三匹と現れるロックバードの数は減っていった。
一週間後、二日続けてロックバードが現れなかったので鉱山の責任者のゴウスの家に報告に向かった。
「おう、お前たち、だいぶとっちめてくれたみたいだな!」
「はい。近寄ってくるロックバードの数も減って、昨日と今日は一匹も来なかったので報告に来ました」
「それだけやってくれれば当分は来ないだろうな。よし、依頼の報酬を渡さなくちゃな」
ゴウスは奥の部屋にいってガサゴソと音を立て、報酬の布袋を持ってもどってきた。
「ほれ、これが報酬の銀貨百枚だ。確認してくれ」
俺はテーブルの上でキッチリ数え上げ、布袋をいただいた。
「約束どおり銀貨百枚、ちゃんといただきました」
「おう! それと鉱山の採掘の権利だが──」
「採掘していいんだな!」
今回の依頼を持ってきたラキスが目を輝かせて身を乗り出させた。
「お、おう。もちろん構わないぜ。まあ興味がない冒険者だったら意味のない権利なんだがな」
「興味ないわけあるか! 私はガッツリ採掘するぞ!」
「すごいやる気だな……。ツルハシは貸し出すぜ。権利は三日間。明日からでいいか?」
「それでよろしく頼む!」
ラキスのあふれるやる気に最初は引きぎみのゴウスだったが、ラキスの採掘にかける情熱が嬉しかったんだろう、「いい鉱石が掘れるといいな!」とはげましてくれた。
こうして俺たちはモンスター討伐の依頼を見事にこなし、本命であった鉱山採掘に取り掛かることになった。




