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第二話 ザ・ヘアーその①

 第二話です。がんばります。

 ようやくIWGP読み終わりました。龍涙~ドラゴンティアーズ~までですが。やっぱおもろいですIWGPは!

 何か大切なものはあるかい?

 すぐには思いつかないかもね。少し考えて「お金」ってはにかみながら言う奴もいれば、「やっぱ金だって」と、笑って言う奴もいるかもしれない。それを聞いて「嫌味な奴」……って思うのは勝手だけど、それで軽蔑するのはお門違いだと思うよ?

 大切なものって人それぞれで、それこそたくさんあると思う。一つだけって人もいれば、いっぱい!って人もいるだろうな。それが軽いものか、重いものか……それさえも人それぞれ。

 オレにもあんたにも、そういうのあるはずだよ。けど、それが何であってもあんたはそれを否定しちゃいけないよ?

 何で?……って……単純に「ムカつく」だろ、そういうの。さっき「金」を例に出したけど……あんたはどう思った?「寂しいやつ」とか「金より大事なもの、あるはずだよ!」……とか思った?逆に「そうそう、金だよ金」って頷いた人もいるかもな。さっきも言ったように、どう思うかは勝手だが、他人の大事に思ってるものを自分勝手な価値観で軽蔑し、見下すのだけは止めたほうがいい。そうだろ?オレもあんたも、違うんだよ。性別だって性格だって名前だって違う。確かに「金金金!」って言われりゃ良い感じはしないし、そういう奴に「金じゃない!この世で一番大事なのは愛だ!」……なんて臭いこと言ってやるのは、気持ちの良いことかもしれない。

 けど……。けどな?そんなこと言う前にあんただって考えなくっちゃあいけない。

 何を?それはさ……。


 自分はお金の価値を全く知らない、ただの偽善者かもしれない。ってことさ。オレみたいなガキに言われてムカつくかい?「金の価値ぐらい……!」……そんな風にムキなってさ。

 ムカつくかもしれないが考えたほうが良い。自分で考え、自分の意思・意見を持つ。分かってはいても、なかなかできないものだと思うんだ。

 ……よく『母親が自分の子どもを虐待……』とかいうニュースが流れたりするだろ?昼間のワイドショーの司会とかは「酷い親だ!信じられないよ!」……とかいったコメントをし、母親を完全な悪者にする。そこにあんたの意思・意見はあるかい?司会者やマスコミは悪く言うが、その母親にだって何か理由があったのかもしれない。それこそお金が無く、途方に暮れた結果子どもを虐待したとしたら、どうする?お金が無ければ、愛が生まれない状況だってあるよ。そりゃ、女手一つで子どもを立派に育て上げた人もいる。でも、そんなに強い人ばっかじゃないんだ世の中。


 ここまで話してきたことを頭に入れて、今回の話は見てくれ。といっても、例によって全くつまらないし、気張る必要もいらない。ここまで語ったことのほうが色々学べる人もいるかもね。

 それでも構わないなら付き合ってくれ。


 これは、肉屋のデブと、将軍の名を冠した犬、そしてそのプリンセスの話。

 盛り上がりなんてどこにもなく、推理小説で犯人が自首するくらいつまらない話。

 オレにとってみてもそれは同じなのだが、この話のラストだけはさすがのオレもイラッときたね。ま、それもつまらない嫉妬なんだけどな。


 ゴールデンウィークも終わった五月も中盤って頃。オレの生活は全く変わらない。夢の黄金週間もオレにとっちゃサビ鉄週間って感じだった。学校が休みな分一日中店に出されたりすんだからな。

 ただ、何もなかったってわけじゃない。ゴールデンウィークに入るちょっと前に、オレには賞味期限が分かるっていう変な能力が覚醒したし、近所に変なインド人がいることも分かった。

 ……ただ、まあ……それで何がどうなったってわけじゃない。変な力が目覚めたところで世界を守る戦いに巻き込まれるわけでもないし、世間の皆様に称えられるわけでもない。

 そんなつまんねえ毎日を過ごしているある日のこと。オレはいつもと変わらず、遅刻もせずに学校に登校していた。早すぎず遅すぎず……既にクラスには何人か居る。それくらいの時間帯に着くよう家を出て、学校に着く。案の定クラスには何人かの男子女子が居た。仲の良い奴に軽く挨拶して自分の席に座り荷物を置く。オレの席は教卓から見て右から二番目三列目。右隣はシンヤ、後ろがケンゴだから楽しそうだろ?

 その後ろ。オレが来た時にはもうケンゴは来ていた。シンヤはまだ来てない。あいつは遅刻寸前に来るからな。で、ケンゴだが……顔を机に押し付け非常にテンションが低めだった。大体こいつは朝はテンション低いが、今日は一段と低めだった。背中からは負のオーラが漂ってる。表情は死んだブタみたい。そんなのが後ろにいるもんだからオレとしては非常に迷惑ってもんだ。

「おい。今のお前の顔ホラーもんだぞ」体を回し、ケンゴを見下ろす。

 しばらくして微かなリアクションが返ってくる。

「サク……もう駄目だ……どうしたらいいんだ……」

「今年の夏の乗り越え方か?そうだな、やせろ。今すぐダイエットしろ。そうすりゃ大丈夫だ」

「……そんなこと言ってんじゃねえ……第一オレは太ってない……」

 ……今、ものすごいボケをかましてきたが、つっこんだほう良いのか?

 ケンゴはこちらに目を向けることなく、相変わらず机に頭を預けた格好で続けた。

「これは本当に……まずいんだ……オレ……死ぬかもしれない……」

 今までにないくらい切羽詰った声で言うので、オレも若干心配になる。体を完全に後ろを向ける。

「何だよ、どうしたんだ?」

「オレ……オレさあ……なんかさあ……」

 消え入りそうな声。何だか重大な告白の前触れみたいで怖い。もしかして不治の病に罹ったとか、まさか……そんなあれなのか?朝っぱらから?

「おい、だから何だってんだよ!」

 オレがケンゴの体を揺すると、ヤツはいきなり上半身を起こし、全く余裕の無い顔でこう言った。


「なんか、オレめちゃくちゃ髪の毛が抜けるんだよ!」


「は?」

「だから!髪の毛だって!髪の毛がすっげー抜けるんだよ!」

「……なんだそりゃ」オレの心配を返せ。

 オレのことなんて見えてないのか、ケンゴはより表情を強張らせ喚いた。

「ゴールデンウィークあたりかな……。なんか髪の毛抜けるなぁ、とか思ってたんだけど……それが異常なんだよ!一回髪の毛いじったら確実に五本は抜けていくんだ!パラパラパラパラ……オレの指の間をすり抜けてったりして……。なあ!サク!オレ……どうすりゃいいんだッ!」

 ……知らね――――。友達から「抜け毛で困ってる」って相談受けたら、あんたならどうする?それが中年のおっさんで、歳だろって問題じゃない十代の高校生からだとしたら。オレならこう言うよ。

「……若ハゲ乙」

「乙……じゃね――!」

 そう怒鳴るケンゴから、また髪の毛が抜けるのがなんとも哀しいね。

 そんなアホ臭いやり取りから一日が始まった。

 一話以上に駄目な話となるかもですが、最後まで付いてきてくれたら嬉しいです!

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