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星の河を流れる夢文

作者: 藤乃花

約半年ほど早いですが、七夕の物語を書いてしまいました。 




笹の葉に混ざり、紙で創られた飾りや願い事が綴られた短冊がサラサラと音をたて、夕闇になびく。

短冊にはあらゆる想いが込められていて、願い事にも様々なものがある。  


空から舞い降りてきた『星の使い』は国じゅうを翔びまわり、短冊に込められた想いから一つの願い事を選ぶ。 

災害に逢った地域の人々への幸福を祈るふみがあれば、叶えたい夢を綴る物もあったりする。

どの短冊にも願う気持ちが強く刻まれ、どれを選ぶか『星の使い』は迷う。


北海道から熊本へと移動を続けること数時間……何軒かの家を訪れ、とある家に飾られている短冊を見付けた。

そこに綴られてあるふみを読んだ『星の使い』の心は、文面からその願い主の人柄に強く惹かれた。

(筆跡から考えて、きっとまだ幼い年齢なんだろう……。

こんな年でこんな願い事を綴るなんて、他者を思いやれる人だろうな……)


今年の願い主は決まった。

『星の使い』の手がその短冊を静かに外すと、空から星を一つ優しくもぎ取った。

もぎ取られた星は星の形の瓶に姿を変え、選ばれた短冊を中へと移した。


「さあ……星の小瓶、この夢を彦星様と織姫様に届けておくれ……」

『星の使い』が星の小瓶にそう語りかけると、それは夜空へと翔んでいき天の河まで夢を運んで行った。

願い事が綴られた短冊を運び、星の小瓶は彦星様と織姫様が待つ天の河の上流へと辿り着く。


天の河から星の小瓶を拾い上げた彦星様は、中に入れられてある短冊を取りだし、織姫様と読み上げる。

「「すべての人が願う夢をかなえてください」」

心から願う願い事は彦星様と織姫様の気持ちに響き、二人の心に風を起こした。


「なんと心優しい願い主だ……自身の願い事だけではなく、他者が願う夢を叶えたいとは……!」

彦星様は感動を押さえられない様子を見せる。

「今年は、この方が願う夢を叶えましょう。

そうすれば、この方の夢も叶えられますから」

織姫様も感動して、願い主の夢をも叶えたい気持ちになっている。


心優しい幼い子供の夢が綴られた短冊から静かに小さな星がこぼれ落ち、夜空を飾る星の中に混ざって……そして輝きだした。

叶えられるたった一つの願い事に選ばれたふみからこぼれた星を見上げ、『星の使い』はこの世に存在する夢が、全て報われるようにと心から願って唄い始めた。

「♪キラキラふみがキラキラ光りキラキラ夜空を光らせました♪」





特に激しい動きなどはない話ですが、宜しければ酷評、不可解な点等を頂ければと思います。

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