web小説における既存のおもしろさが描けない……
そもそもなぜ、カクヨムや小説家になろうをはじめとするweb小説サイトで「なろう系」の作品を投稿しないのか、と思う方もいらっしゃるかと思います。俺TUEEE系が好物というのなら、そのような作品を書けばいいじゃないか、と。
その通りだと思います。実際自作「異世界で自由に生きてゆくための冴えたやり方」も、だいたいそのような内容になっています笑。
ただ、いくつか決定的に違うことがあります。そのひとつが主人公のシンです。彼はとある理由によって異世界に導かれてきたのですが、それがかなり深刻というか、シリアスなものとなっており、シンの性格・内面的なことが相まって、どうしても俺TUEEE的展開にできなかったんです。
読者に受け入れられやすいことはわかっていたため、かなり試行錯誤した記憶もあります。しかしそんなときは必ず、「いや、こいつ(主人公)はそんな感じにはならんだろう……」といった突っ込みが入りました。
さすがに自分の描きたい作品ではなくなってしまう、と。
Web小説を投稿する目的のところでも触れましたが、この「自分の描きたい作品」というのがまさに私を苦しめるわけです。
主人公はなぜ力を与えられたのか、その力の原理や起源はなにか。そもそも導かれた異世界とは何なのか。
さらには主人公とヒロインが出会った理由や互いに惹かれ合うきっかけ、動機。敵対者の目的(行動理由)、世界の存在などなど、私が創り上げた物語、その根幹に関わるようなことだけはなんとか原型のまま留めたい、と。
あとはまあ、性格あるいは作風という感じになるかと思いますが、私と主人公が物事を受け入れる際、現実的に考えすぎてしまう、ということです。
例えば異世界にやってきた際、「これがよく耳にする異世界転移!」といった展開にできないんです泣
どうしても、「なんだよここは……!」からしか描けない、読む分にはまったく、まったく気にしないくせに、自分で書くとなると(そんな簡単に受け入れられるわけないだろ!)って、またしても突っ込みが入ってしまう。
そう、突っ込みです。自分の作品に限っていえば、容赦ない突っ込みが入ってしまうんです!
本当は私だって俺TUEEEして、異性に囲まれ惚れられ、自由気ままに暮らしたいんですよ!
ただ、内なる叫びがそうさせてくれないんです……いや、絶対そうはならんだろ、って。
というわけで、投稿当初の「君と異世界を自由に生きてゆくための冴えたやり方」は、かなり説明くさい、導入がなんとも間延びした展開の、Web小説読者にはなんともウケの悪い作品になってしまったわけです。
Web小説初心者ということもあり、全然読まれるようなタイトルでもありませんでした。今は公開していませんが、投稿当時のフォローは70前後だったかと思います(初心者にしては結構善戦していますかね……?)
さんざん考えあぐねた結果、「なろう系」と「自分」の接合点を見出し、なるべく多くの読者の方に受けれられるような物語を書こう、となったわけです。
念のため断っておきますが、この「自分」というのは別に自作が他の作者や作品と別物である、などという大それた意味ではまったくありません。上で書いたような理由から、読者に求められている既存のおもしろさや展開が描けない作品、というだけのことです。
むしろ「落ちこぼれ」みたいな感じがしていましたね……。
それでも、できるだけ多くの方に読んでもらうためにはどうすればいいか、ということをくりかえし考えました。
つまり、なろう系作品で受け入れられている内容を、可能な限り自作に反映させてみよう、と。
おもしろいおもしろくない以前に、まずは目に留めてもらわないと何も始まらないと思ったからです(気付くのが遅い……)。