とはいえ書籍化・コミカライズは遠い道のり
作家(小説家・コミカライズ原作者等)を目指す人にとって、Webサイトで投稿することは当たり前のようになり、今やWeb小説が商業化されることもめずらしくなくなりました。
とある掲示板に行けば、当然のように商業化されている天上人たちのお話を聞くことができます。あまりにも恐れ多くて私は書き込むこともできませんが、非常に興味をそそられるお話も多くあります。
ひと昔前に比べると小説を商業化するハードルは下がったと言っていいと思います。このことは多くの方が仰っていますね。
それでも小説を書く、というのはとてつもなく孤独な作業です。もちろん、誰に強制されているわけでもなく、好きでやっていることではあります。ですが、一生懸命書いた作品が誰にも読まれず、何の反応ももらえないということは、本当に悲しいことであり、つらいことです。
逆に言えば、読者からの反応は創作の孤独さも吹き飛ぶほどのエネルギー、モチベーションとなります。私自身、そうでした。
なかには「まわりの反応なんか全く気にしない」、「自分の好きな物語を書いていればそれだけで楽しい、幸せ!」という作者の方もいらっしゃると思います。
そんな作品が人気を呼び、書籍(小説)化され、コミカライズに至ったとあれば、まさにWeb小説作家としてはアメリカンドリームならぬWeb小説ドリームといえるでしょう。
※商業化したらしたでまた別の苦しみが待っているとのことですが、それはまた別の話とさせていただきます
しかし実際はどれくらいの数の作品がそのようなドリームをつかむことができるのでしょうか。
令和6年12月17日現在、実際にカクヨムで物語のジャンル(異世界ファンタジー~ミステリ、歴史・時代・伝記等)による検索をかけてみたところ、ヒットした作品数は401,272となりました。小説家になろうにおいては、646,390作品です。
重複している作品も多くあるかと思いますが、他サイト分を含めれば1,000,000作は優に超えるといえるでしょう。
※あくまで目安としてですので、私が現在投稿しているカクヨムと小説家になろうに絞っての話とさせていただきます
カクヨムでは、2021年に商業展開された作品は293作と公表されており、そのうち新シリーズのタイトル数は101作品となっています(https://kakuyomu.jp/info/entry/2021_publication)。
商業化された全作品数まではわかりませんでしたが、2016年2月にサービスが開始されたことから、2024年現在までの9年間×100作品=900作品程度が商業化されたとしておきます(ガバガバ計算ですみません……)
一方の小説家になろうは、サイト掲載作品の商業化数は7000以上だそうです(https://hon.jp/news/1.0/0/52707)。
※新シリーズのみなのか、既存のシリーズ含めてかは定かではありません。おそらく数的に全シリーズ含めてだと思われます。
詳しい数字はさておき、ひとまずこの二つの数値を限りなく多く見積もり、これまで10,000作程度が商業化されたとしましょう。
つまり、カクヨムと小説家になろうに限り、私のガバガバな計算のもとでは、10,000/1,000,000で、およそ100人に1人が商業化していることになる……わきゃないんですよ!
だって、このうち一人で何作も商業化されている作者、天上人がいらっしゃるわけですから。しかも小説家になろうの場合、既存のシリーズも含まれている可能性が高いので、デビューされた作者の数はさらに少なくなると考えられます。
もちろん、投稿している作者全員が商業化を目指しているわけではないと思いますが、あくまで数の上では、です。
というわけで、私が調べた限りの数字でWeb小説サイト(カクヨム・小説家になろう限定)からデビューできる確率を厳密に求めるのはかなり難しい。良くて500~600人に1人とかじゃないんですかあ……?(急に適当)
前回開催されてたカクヨムコンテスト9(長編・短編)をみてみると、応募総数28,955作品(過去最多い)のうち、受賞は144作品(長編120、短編24作品)。ネット小説大賞は応募総数15,387作品中、受賞は49作品となっていました。
受賞確立だけで考えても、カクヨムコンテストは201分の1、ネット小説大賞は314分の1となります。
ちなみにハーバード大学の合格率が4.6%、倍率にすると約21.7倍となるため、単純に競争率だけでみるとハーバード大学より何倍もハードルが高いという笑
このうち実際に商業化される作品はさらに少なくなりますので、コンテストだけに限っても書籍化までたどり着く作品は500~600分の1くらいになるんじゃないですかねえ(超適当)
とはいえ、難関大学に合格するよりも高い倍率になるのは間違いない。この結果だけでも商業化への道のりは果てしなく遠いものといえそうです……。