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根本的な創作論~自分の描いた物語が編集者の目に留まるまで③

目の前の現実と向き合いたくないがために、「絶対賞をとり、売れっ子作家になって印税で暮らす」、という目標にむかって具体的に動き出した、という。

恥ずかしながら前回の投稿では、私が執筆に取り組みだしたきっかけとなった出来事を説明させてもらいました。


実は今回コミカライズされる「異世界を自由に生きてゆくための冴えたやり方」には、このような私の経験が大いに影響しています。


本作が今にいたるまでの私の経験や今まで目にしてきたストーリー(小説、漫画、アニメ、ドラマ、映画、ゲーム)から醸成されたことは、前回の投稿でも触れました。


しかし、より読者の心をつかむためには、意図的かどうかは別として、「物語に込められたテーマ」が必要だと思うのです。


自作でいえば「現実と向き合えない(向き合う)」ことが、本作の重要なテーマのひとつになっています。私が執筆に取り組むきっかけでもありますが、当時の私のような弱さ、至らなさは、少し大げさな言い方をさせてもらえば、人生における主題であると実感したからです。


このように、自分の中の衝動や願望、葛藤や対立をはじめ、良くも悪くも心を動かされた経験というのは、自分の描く物語に必ずといっていいほど反映されてしまいます。


むしろ私は、意識的に反映させなければいけないと考えています。作者それぞれが心動かされた経験こそが、物語の創作に繋がっていると思うからです。


みなさんが今書いている物語は、いったいなぜ生まれたのでしょうか? 自身の衝動や願望から物語が湧き上がってはきませんでしたか? いつか体験した感動を自分の手で創り出したいということは?


なかには純粋に収入を得るために執筆されている作者の方もいるかと思います。しかし、さまざまな仕事が世に溢れているこのご時世、小説という方法を選択したということは、物語の創作に対する欲求があったからだと思います。


そうであるならば、これまで私がお伝えしてきたことにも、もうなずける部分もあるのではないでしょうか。


私はこれまでの投稿で、「web小説には既存のおもしろさが求められる」といった内容をお伝えしてきました。そのことを否定はしませんし、私自身、必要だと思っています。


そのうえで、自作に特徴やウリ、目新しさ、展開のおもしろさが含まれていれば、多くの読者に受け入れられるというのも間違いではないと思います。


ただ編集者という、小説にしろコミカライズにしろ、物語の販売というコンテンツに関わるプロの目に留まるためには、その作者ならではの「感動」が必要なのではないでしょうか。


そしてこの感動は、作者自身の内に秘めた衝動、願望をはじめとする体験から生まれてくる、と。


特に私のようなweb小説としての既存のおもしろさを前面に出せない作者の方は、ぜひ一度、自身の作品のテーマというものを言語化してみてください。物語の核となるものがはっきりとわかります。


物語の核(本当に伝えたいこと)を明確にしたうえで、以前お伝えしたようにweb小説の読者に受け入れられるような形を模索してみる。


自分が大事にしていることはそのままに、web小説としてのおもしろさも備えた物語へと昇華することで、今まで埋もれてしまっていた大切な作品が日の目を見る可能性もぐっと高まるのではないでしょうか。


打診がくるほどのブクマもフォローもなかった自作が編集者の方の目に留まったのは、Web小説としてなるべく受け入れてもらえるような体裁を整えながらも、「自分の中での差別化」ができていたからだと思います。


このことは担当編集者の方も言ってくれていましたので、そう間違ってはいないのではないか、と。

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