web小説としての店構え(タイあら、キャチコピー)
前回の投稿では、「なろう系」と「自分」の接合点を見出すということをお伝えしました。
くりかえしになりますが、この投稿で私が伝えたい相手(作者)とは、web小説としての既存のおもしろさから外れる作品をなんとか商業化したいと考えている方、となります。
前回の例で言えば、コース料理を振る舞おうとしている方です。
いやいや、どうしてカクヨムや小説家になろうでそんな小説書いちゃってんの? と言いたくなる気持ち、よくわかります。ただ、答えは簡単です。
いくら場違いと言われても、なるべく人の多く集まる場所で出店したい。
例え需要があったとしても、ほとんど人の通らない場所で出店しても結果は目に見えているからです。
少しでもチャンスのある場所で挑戦したいと考えらのは少しもおかしなことではありません。
もちろん、売り上げは厳しいです。カクヨムや小説家になろうにおける多くの読者はおいしい喫茶店を探しているので、それ以外の店は基本素通りです。
ではどうするか? そう、まずはお客さんが求めている店のように見せかけましょう笑
なにが「そう」なのか、という突っ込みはなしにして、そのために必要となってくるのが看板と店構え(あらすじ)、そして宣伝文句が書かれた幟となります。
私が言うまでもなく、めちゃくちゃ大事ですね。このことに異論がある人はいないと思います。特にweb小説においては、ある種の様式美のようなものが求められています。
ランキング上位の作品はもちろん、カクヨムや小説家になろうのタイトルをざっと見ただけでも理解できるかと思います。
異世界転移、異世界転生に絞ると、以下のような形でしょうか。
「○○の力を手に入れていた俺は――」
「俺だけ○○だったので――」
「気付けば○○していました」
「最強になり、○○します」
「○○で無双する」
「——後悔してももう遅い」
「——自由気ままに暮らしたい」
「○○は○○であることをひた隠す」などなど
とにかくキャッチコピーで読者の目を引き、タイトルでweb小説としての既存のおもしろさや内容であることを簡潔に表す。最後にあらすじでその作品における特徴や目新しさを詳しく伝える。
ここで一番のポイントは「web小説としての既存のおもしろさや内容を簡潔に表す」という点ですね。
くりかえしになりますが、カクヨムや小説家になろうの読者が求めているのはコーヒーやケーキです。
「至福のひとときをこのコーヒーで」
「このコーヒーは恋と同じ味がする」
「雲のようにふわっふわのチーズケーキ」
「やみつきになるビターな甘さの大人ティラミス」
コーヒーやケーキを食べられるように思わせ、かつめちゃくちゃ美味しそうな(伝わっていなかったらすみません)、タイあら、キャッチコピーを考えなければいけません。
仮にあなたの作品がコーヒーやケーキ、あるいは喫茶店で出せるようなクラブハウスサンドであれば、たんに目立つ店構えにすればいい(これだって相当難しいと思いますが)。
しかし残念なことに、あなたの作品はコーヒーやケーキではなく、コース料理なんです。
……このことを書いていて思い出したのですが、のだめカンタービレに出てくる主人公の千秋真一くんが、とある事情で裏軒という中華料理屋にむりやり連れてこられたんで、嫌味のように「クラブハウスサンド!」って注文するんですよ(確か……)
そしたら当前のようにクラブハウスサンドが出てきて千秋くん「なんであるの!?」って驚愕するという笑。
なかには千秋くんのようなお客さんもいるかもしれませんが、やはり普通はチャーハンやラーメンを頼むと思うんですよね。
もしwebとしての既存のおもしろさを出せない、取り入れられないと感じている作者のみなさん。まずはカクヨムや小説家になろうの読者に目を留めてもらえるような店構えのタイあら、キャッチコピーを考えるところから始めませんか。