表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/33

3

「ほら。愛すべき人が、自分を臆病者にしたって桜井和寿も言ってるだろ」浅岡は、ファミレスの店内に流れていた曲に呼応するように、歌を口ずさんでいた。


「誰かに恋に落ちるのはいい面ばかりだけど、一歩間違えば線路の下に沈んじゃうんだぜ」

「線路の下?」

「自殺の例えだよ。人身事故って言ったら線路だろ? あそこで自殺者は人生を終える訳なんだから、みんなあそこに沈んでんだよ」


 自殺の例えだということはわかったが、それが恋に落ちることとどう繋がるのか群青にはわからなかった。


「恋に落ちると自殺しちゃうんですか?」

「そういうこともあるって話」


 フォークに絡まったパスタは、浅岡の口に運ばれていく。丸ごと一口で食べた後、水をまた豪快にゴク、ゴク、と喉を鳴らして一口、二口。そして机にバンっとグラスを置いて、「で、どうだったんだよ昨日」と視線を向けられる。


「昨日って、なんかありましたっけ?」

「とぼけんなよ。ピンサロに連れてってやったじゃねーか」


「ああ」連れて行ったって自慢げに言う割に、浅岡は自分の分の金しか払わなかったよな、と昨日のことを顧みる。


 群青は溜息をつく。「あの後、浅岡さんいなくて探し回ったんでくたびれました」


「お前、携帯持ってないもんな。今時公衆電話なんて珍しいわ」


 またくるくるとフォークに絡まったパスタが口に運ばれていく。


「で、どうだったんだよ。いい経験になっただろ?」


 そう言われても、いい経験だったのかどうかは群青にもわからなかった。今となってはぶっちゃけどうでもよくなかった気もするし、でも、昨日の店内に入った時点ではどうでもよかったのかもしれない。


 曖昧な表情で考え入っていたせいか、群青が質問に対して応えるより先に、浅岡は答えを言ってしまった。


「あいつにだけは惚れんなよ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ