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第2話 価値を感じない
王様の性格はひどく壊滅的だった。
ミスをした使用人には過剰な叱責をとばすし、与える罰も多い。
機嫌が悪い時に声をかけただけで、鞭をうつ事もある。
しかも、自分の意見が絶対に正しいと思っているらしい。そのため、反対意見を述べた者は容赦なくお城から追放してしまう。
私が知っている中でも、数十人の人間が辞めていってる。
我慢の限界がきそうだったのは、自分の濡れ衣を別の人間に着せた事。
他国の要人が来た際に、うっかり彼等の荷物を無くしてしまった事がある。
それは他でもない王様のせいなのに、罪を別の人間になすりつけたのだ。
それも、自分の国の威信を守るためでもなんでもなく、ただ保身のために。
王の伴侶となる事は多くの人が羨む事、そのはずだ。
でも、私にとってはもうあまり価値がなくなってしまった。